研究課題/領域番号 |
20K17333
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
関田 愛子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (10804289)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / 血管内皮 / 炎症 / 皮膚組織病理 / トランスクリプトーム / 免疫細胞 / 細胞浸潤 / 血管機能 / 炎症の慢性化 / 皮膚組織 / 血管 / 組織浸潤 |
研究開始時の研究の概要 |
アトピー性皮膚炎(AD)は長期にわたり炎症の増悪と寛解を繰り返す慢性皮膚疾患である。炎症がとりわけ長期化したAD患者の皮膚では、免疫細胞の組織浸潤および除去に関わる血管の機能に異常をきたしている可能性がある。本研究では、炎症の長期化にともなう血管機能の変化を明らかにするため、AD患者の皮膚サンプルごとに炎症長期化レベルと血管をはじめとした組織の状態との関係について病理、遺伝子発現の両面から解析を行う。さらに、AD様マウスモデルを用いて、炎症の長期化にともない引き起こされる血管機能変化、またこれを起点とした免疫細胞の皮膚組織内蓄積や皮膚苔癬化についての分子的な制御機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
アトピー性皮膚炎(AD)は慢性難治性の皮膚炎であり、特に症状が長期化した皮膚組織では重度の苔癬化が見られる。本研究では、異なる炎症ステージにある皮膚組織の詳細な病理解析および組織トランスクリプトーム解析を実施した。免疫細胞および血管内皮細胞に発現する血管外遊走・組織内浸潤に関わる遺伝子群とマクロファージ等による細胞貪食・クリアランスに関わる遺伝子群の発現量に着目したところ、重度の苔癬化がみられる皮膚組織では前者が後者に比べ優位になる傾向があることを見出した。すなわち重度に炎症が慢性化した皮膚組織において血管の機能が低下し、免疫細胞浸潤―クリアランスのバランスが破綻していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでにADの皮膚組織における炎症の発生・維持に関わる分子メカニズムが多数報告されているものの、炎症の慢性化状態の違いによる皮膚の組織学的あるいは分子的な変化については未だ十分に明らかにされていなかった。本研究では、患者横断的な皮膚組織の病理学的解析および遺伝子発現解析を通して、皮膚炎慢性化にともない生じる血管機能に関わる遺伝子発現変化を捉えた。本研究で得られた知見は、これまで「皮膚炎」とひとまとめにされていたAD皮膚組織における生物学的変化の、より高い解像度での理解につながる。
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