研究課題/領域番号 |
20K17348
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
棚橋 華奈 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70823467)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 常染色体劣性先天性魚鱗癬 / 表皮細胞分化 / 表皮脂質異常 / 道化師様魚鱗癬 / 葉状魚鱗癬 / 先天性魚鱗癬様紅皮症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、最重症の魚鱗癬である道化師様魚鱗癬を含む常染色体劣性先天性魚鱗癬(autosomal recessive congenital ichthyosis: ARCI)の包括的病態解明と新規治療法開発に直結する基礎的データを得ることを目的とする。具体的には、胎生期から成体まで観察が可能なARCIモデルマウスを樹立し、表皮分化、脂質代謝、サイトカインなどの変化を分析することで、表皮脂質異常が表皮の分化・増殖に影響をもたらすメカニズムを解明し、魚鱗癬治療候補薬を見つけ出す。本研究の成果は皮膚バリア障害を発症因子とするアレルギー性疾患の予防、治療へと波及することが期待される。
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研究実績の概要 |
先天性魚鱗癬は、出生時あるいは、新生児期から全身又は広範囲の皮膚が厚い角質に覆われる疾患である。重症型魚鱗癬の多くの症例が含まれる常染色体劣性先天性魚鱗癬(autosomal recessive congenital ichthyosis: ARCI)は道化師様魚鱗癬(harlequin ichthyosis: HI)、葉状魚鱗癬(lamellar ichthyosis:LI)と先天性魚鱗癬様紅皮症(congenital ichthyosiform erythroderma: CIE)の3病型からなる。 HIは、その中でも最も重篤な先天性魚鱗癬であり、皮膚の発達は胎生期に既に高度に障害されており、出生時より集中治療を必要とし、死亡例も稀ではない。 これまでにARCIの病因遺伝子としてはABCA12, ALOX12B, ALOXE3, CERS3, CYP4F22, PNPLA1, SDR9C7, SLC27A4等の表皮脂質に関連する遺伝子が報告され、表皮脂質の異常が魚鱗癬の臨床像を来すそのメカニズムについては不明な点が多く、根治療法も確立されていない。本研究は、ARCIの包括的病態解明と新規治療法開発に直結する基礎的データを得ることを目的とする。本年度も前年度に引き続き、ARCIにおける表皮脂質異常が表皮の分化・増殖に影響をもたらすメカニズムの解明のため、当教室の保有する複数の系統の、原因遺伝子の異なるARCIモデルマウス、特にAbca12ノックアウトマウスとSdr9c7ノックアウトマウスについて、微細構造の形態学的変化、蛍光抗体染色や免疫組織化学染色による表皮分化・増殖関連蛋白を比較して表皮分化異常の評価を詳細に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規のARCIモデル細胞、マウス作成計画に遅れが生じており、当教室保有の既存のARCIモデルマウスの解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
常染色体劣性先天性魚鱗癬(autosomal recessive congenital ichthyosis: ARCI)における表皮脂質異常が表皮の分化・増殖に影響をもたらすメカニズムの解明のため、研究代表者の所属する教室の保有する複数の系統のARCIモデルマウスの皮膚について、透過型電子顕微鏡による微細構造の形態学的変化、蛍光抗体染色や免疫組織化学染色による表皮分化・増殖関連蛋白、およびサイトカインの発現・分布について引き続き比較・検討を行う。原因遺伝子の異なるARCIモデルマウス間における、表皮分化異常および各脂質異常の詳細、サイトカイン変化の相違を詳細に比較解析する。また引き続き新規ARCI新規モデル細胞およびマウス作製に引き続き取り組み完成と多角的解析を進めていく。
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