研究課題
若手研究
本申請研究では、小胞体ストレス応答(Unfolded protein response, UPR)を介した薬剤耐性の獲得機構を解明し、耐性獲得機構の阻害と他のがん治療に有用であるエピジェネティクス治療薬のヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase, HDAC)阻害剤を組み合わせたメラノーマの画期的な治療戦略の確立を目指す。さらにメラノーマでの変異率が高いSWI/SNF複合体のARID2によるUPRの制御に着目し、併用療法の治療適応バイオマーカーを開発することにも挑む。
クロマチンリモデリングを調整するSWI/SNF複合体のAT-rich interactive domain-containing protein 2(ARID2)は、メラノーマで変異率が高い。今までARID2の変異が、メラノーマのがん化進展に与える影響は不明であった。本研究では、ARID2のメラノーマの増殖能や浸潤能への制御を解明した。さらに、SWI/SNF複合体が腫瘍免疫を調節することが報告されており、本研究でも、ARID2がメラノーマ細胞の免疫チェックポイント阻害剤への反応に影響を与えることを示した。
当初の目的の1つであったエピジェネティクス治療薬のHDAC阻害剤のメラノーマにおける治療戦略の確立には至らなかった。しかし、新規治療戦略の探索という点では、NOTCHシグナルの抑制機能で知られるNUMB が、メラノーマにおいても他の癌種同様に、癌抑制因子として機能することを解明した。さらに、NUMBのloss of functionが、cyclin E の発現上昇を介して、メラノーマ浸潤能の増加に繋がることを証明した。最後に、グリコーゲン合成酵素キナーゼ-3阻害剤がNUMB依存的にメラノーマ細胞の浸潤を減少させ、新規の治療標的となり得る可能性を提示できた点は本研究の社会的意義と考える。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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