研究課題/領域番号 |
20K17355
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
井汲 今日子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90833301)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 乾癬 / 脂肪肝 / psoriatic disease / 肝硬変 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
乾癬および肝硬変は外刺激に対する自己防衛反応が過剰となった結果発症する疾患である。この炎症反応にはIL-17が重要な役割を果たしているが、免疫細胞の抗原特異性のためにそれぞれの臓器でエフェクター細胞が異なる。我々はこれまで乾癬が過剰な自己修復の結果発症することに着目し、乾癬と糖尿病の関連性やIL17の関与について解明した。さらに、近年乾癬患者では脂肪肝や肝硬変が多く時には致命的となることが報告されるようになった。そこで、乾癬患者の皮膚の過剰な自己修復が肝臓にも同様に生ずるために肝硬変を多く発症するのではないかと考え、本研究では乾癬と肝硬変の関係およびその発症メカニズムについて調べる。
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研究実績の概要 |
乾癬は全身炎症疾患であり、乾癬の悪化は代謝疾患にも影響を及ぼす。我々はこれまでに各種薬剤による乾癬治療の結果、糖代謝・脂質代謝を含む代謝に関わるデータがどのように変化するかの後ろ向き観察研究を行い、論文化した(J Dermatol. 2022 Apr;49(4):e125-e126. )。この論文ではアプレミラストの治療前後にてHbA1cの変化はないが、インスリン抵抗性を改善する可能性があることについてまとめ、さらに皮膚臨床写真との比較により、代謝に影響する際には皮疹がフレアしている可能性を考え、フレアさせない治療・および適切な乾癬治療が代謝への悪影響を防ぐために重要であることを考察した。その他にも、使用薬剤により糖代謝・脂質代謝への応答性が異なることがわかり、薬剤によっては有意に体重増加をみとめることもわかった。イミキモド塗布による乾癬モデルマウスでの肝臓組織を組織学的に検討した。その結果モデルマウスでは激しい炎症細胞浸潤がみられるわけではないものの、ある種の細胞が増えていると思われ、形態学的にはマクロファージである可能性があった。マッソントリクローム染色ではコントロールとモデルマウスに差がなかったが、さらに細かい繊維である細網繊維にに違いがある可能性があった。これらの結果からは、少なくとも乾癬において肝臓にも炎症をきたし、マクロファージが関わる可能性が示唆されたが、それがどのような種類のマクロファージであるのかをNGS解析を用いてさらに調査する必要がある。また、全身炎症が強い乾癬の代表例としての紅皮症患者におけるIFIH1, DDX58, AP1S3, IL1A, IL1B, CARD14, IL1RL2, IL36RN, SERPINA3バリアントを解析を行った。明らかにpathogenicといえるバリアントは現時点で同定できないが、上記遺伝子のバリアントが多数みられることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
乾癬患者において、血糖値が上昇することがわかった。使用薬剤によって、その上昇度合いが異なることや、皮膚の治療により血糖が低下することがわかった。アプレミラスト使用患者において、インスリン抵抗性が改善する可能性がわかった。肝臓においては、ある種のマクロファージが増加する可能性があった。現在はより炎症が強い乾癬、乾癬性紅皮症において、遺伝子解析を行っている。なお、研究者(研究代表者、研究分担者または研究協力者)のその他の業務の多忙、親族の介護、身内の不幸、子の養育(産前産後休暇または育児休業の取得によるものも含む)、怪我や病気による事由により計画より遅れており、2023年度までの延長申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
NGS解析のセットアップが完了したため、症例を増やし、疾患と関連するバリアントを同定する。
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