研究課題/領域番号 |
20K17356
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
山本 礼 (中田 礼) 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (80833300)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | AKR1C3 / 芳香族炭化水素受容体 / 尋常性乾癬 / 皮膚バリア機能 / ロリクリン / SNP / アトピー性皮膚炎 / アルドケト還元酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
アトピー性皮膚炎の発症、増悪と大気汚染により活性化される芳香族炭化水素受容体(AHR)の関係は以前より示唆されていた。今回、我々はアトピー性皮膚炎の患部皮膚・表皮有棘層において高発現し、ロリクリンの発現を抑制する酸化還元酵素・アルドケト還元酵素(AKR)1C3の活性が、AHRに依存的であるとの知見を得た。AKR1C3はいくつかの変異・多型を持つことが知られており、我々は、ある種のAKR1C3遺伝子の変異・多型が、大気汚染等の環境因子に対する反応性を増幅し、アトピー性皮膚炎の発症に関与しているとの仮説を立て、これをアトピー性皮膚炎患者から採取した皮膚組織、血液組織を用いて証明する。
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研究実績の概要 |
乾癬の主な病態は皮膚バリア機能の障害、表皮の肥厚、顆粒層の喪失である。タバコの煙や大気汚染物質などの外的要因への曝露は、乾癬の発症と関連している。芳香族炭化水素受容体(AHR)は、乾癬の発症に関連する外因性因子によって活性化され、転写調節因子として機能する。また表皮有棘層におけるアルドケト還元酵素 (AKR) 1C3 の発現は、AHR シグナル伝達経路を介して表皮角化細胞の分化を調節する。我々は、AKR1C3 の一塩基多型 (SNP) が乾癬の病因に関連しているかどうかを調査した。 日本人の乾癬患者 (n = 231) におけるAKR1C3のSNPの一つであるrs12529 G/C、C/C バリアント、および rs12387 A/A、A/G バリアントの割合は、日本人の健常コホートと比較して 2 倍高かった。発症年齢が 22 歳以下の女性患者では、SNP は大部分の変異よりも有意に多く見られた。 rs12529 G > C および rs12387 A > G SNP を有する患者は、AKR1C3 発現が有意に低く、後期分化マーカーの発現が高かった。結論として、表皮におけるrs12529 G > Cおよびrs12387 A > G SNPによって引き起こされるAKR1C3の下方制御は、ケラチノサイトの異常な早期分化および皮膚バリア機能不全を誘導し、これが若い女性における乾癬の遺伝的病因に寄与する可能性がある。 以上の報告をSci Rep. 2023 Feb 25;13(1):3280.に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乾癬発症におけるAKR1C3・SNPの関連について、Scientific Report誌に報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
AKR1C3・SNPと皮膚バリア機能障害、アトピー性皮膚炎の関連についてはドイツの研究室からの報告が行われた。我々はAKR1C3・SNPと皮膚老化についての解析を計画中である。
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