研究課題/領域番号 |
20K17381
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
林 慶和 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (00801078)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 造血幹前駆細胞 / 腸内細菌 / 自然免疫 / 組織修復 / 造血幹細胞 / 多能性前駆細胞 / 骨髄球 / 腸管炎症 / 顆粒球 / 慢性炎症 / 炎症性疾患 / 常在菌 / 造血応答 |
研究開始時の研究の概要 |
血液細胞は骨髄の造血幹細胞によって生涯にわたり作られている。これまでに細菌感染により、細菌の構成成分であるリポ多糖(LPS)が造血幹細胞の機能を損傷することが明らかになった。体内には口腔や腸など非常に多くの細菌が共生しており、これらの常在菌が様々な免疫や疾患に関与していることが近年明らかになりつつある。これまでに報告されている細菌感染誘導性の造血幹細胞機能低下と体内に共生する細菌の多様性を考え合わせると、体内に存在する常在菌が骨髄あるいは骨髄外の各組織において造血応答を制御している可能性が考えられる。そこで本研究では、体内の常在菌が造血応答をどのように制御するのかその分子メカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
腸管炎症により腸内細菌が体内に浸潤することで、造血応答に何らかの影響を及ぼすのではないかと考え、腸炎が造血に与える影響について検討を行った。デキストラン硫酸ナトリウム投与による腸炎モデルマウスを用いて造血応答を解析したところ、急性腸炎下では骨髄にて造血幹・前駆細胞(HSPC)が増加した。さらに、腸間膜リンパ節においても増加していたため、腸炎によるHSPCの炎症局所への遊走が示唆された。HSPCが骨髄球に分化し組織修復に寄与していることが分かり、この一連の応答が腸内細菌によって制御されることを明らかにした。 本研究課題から得られた知見は骨髄と末梢組織における多臓器連関応答の存在を示すものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
“炎症と造血”は造血分野において注目されている領域であり、老化に伴い増加する炎症疾患との関連だけでなく生体防御や組織修復における機能の観点からも注目を集めている分野である。本研究では炎症の起こる場である血液の幹細胞(造血幹細胞)をモデルとして、これまで明らかにされてこなかった腸炎下における腸内細菌依存的な造血応答制御を分子レベルで明らかにするとともに、腸管関連組織で増加した前駆細胞ならびに骨髄球が最終的には組織修復に関与することを明らかにした。 本研究課題から得られた研究成果は造血における新たな概念を提示したという点において、基礎医学への貢献は大きく学術的意義ならびに社会的意義の高い研究である。
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