研究課題
若手研究
多発性骨髄腫(MM)において、既存治療に抵抗性を示すがん幹細胞(MM幹細胞)は骨髄の低酸素環境に存在している。MM幹細胞は多様な生体分子(miRNAなど)を含む小胞(exosomes)を過剰に分泌している。本研究ではexosome分泌に着目し、低酸素環境に潜むMM幹細胞の生存との関わりを明らかにする。Exosomeの分泌がどのように制御され、MM幹細胞の生存に関わるのか解明されれば、それを糸口にした新たな治療法を提案できる。MM幹細胞の弱点を突いた治療は、MMを治癒の望める疾患へと変える可能性を有している。以上より本研究は、MM患者に大きな福音をもたらしうる、社会的意義の高い基礎研究である。
これまでの検討から、低酸素環境下において多発性骨髄腫細胞の細胞外小胞(exosomes)分泌を阻害すると、HK2発現量の低下と細胞死の誘導が生じることがわかっている。本研究では、exosomes分泌阻害によりHK2のミトコンドリアにおける抗アポトーシス機能が低下している可能性を見出した。また、多発性骨髄腫細胞の低酸素環境におけるexosomes分泌制御メカニズムの一つとしてAkt/AS160経路を明らかにした。上記は多発性骨髄腫細胞の低酸素環境適応メカニズムの解明に繋がる重要な知見と考えられる。
多発性骨髄腫(MM)の再発に関与する幹細胞性の高い集団(骨髄腫幹細胞)は、骨髄低酸素環境に存在すると言われている。代表者は、上記骨髄腫幹細胞を低酸素環境での長期培養によって再現し、その生存に細胞外小胞(exosomes)の分泌が関与することを見出した。さらに本課題ではその分泌制御に関わるシグナルおよび生存メカニズムの一部を明らかにした。本知見を基盤とする、骨髄腫幹細胞を標的とした再発を防ぐ治療法の開発が期待される。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 5件) 備考 (2件)
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