研究課題/領域番号 |
20K17390
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
池辺 詠美 国立感染症研究所, 次世代生物学的製剤研究センター, 主任研究官 (80593813)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | HTLV-1 / ATL / 小胞体ストレス / 小胞体ストレス応答 / 成人T細胞白血病 |
研究開始時の研究の概要 |
ATLはHTLV-1感染を起因とする極めて難治性の白血病/リンパ腫であるが、有効な治療法が確立されていない現状において発症予防薬の開発は急務である。我々は、HIV-1インテグラーゼ阻害剤MK-2048のHTLV-1感染細胞に対する特異的かつ強力な増殖抑制効果と、それがHTLV-1感染細胞における小胞体ストレス抵抗因子GRP78の発現低下を原因とする小胞体ストレス応答制御によることが示唆される結果を先行研究により見出した。 本研究では、MK-2048の抗HTLV-1薬としての有効性ならびに安全性を明らかにするとともに、HTLV-1感染による小胞体ストレス応答制御のメカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
ATLの発症予防・治療法の開発を目指し、MK-2048の抗HTLV-1効果について検討した結果、MK-2048がHTLV-1感染細胞特異的に小胞体ストレス性アポトーシスを誘導し、ATL発症のリスクファクターとされるプロウイルス量の上昇を抑えることが明らかとなった。さらに小胞体ストレス誘導能を有するリード化合物の中から、より低濃度で抗HTLV-1効果を示す化合物を見いだした。 これらの結果から、MK-2048が既存の治療薬とは異なる機序でHTLV-1感染細胞を特異的に排除する新規抗HTLV-1薬候補となること、小胞体ストレス応答がHTLV-1感染症の新たな標的となりうることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、HTLV-1感染細胞の小胞体ストレス応答異常に着目し、MK-2048が小胞体ストレス性アポトーシスを誘導して抗HTLV-1作用を示すこと、小胞体ストレス応答がHTLV-1感染症の新たな標的となりうることを明らかにした。 小胞体ストレス応答は多くの癌で薬剤耐性化と関連することが示されており、治療標的として着目されているが、ATLにおいても標的となりうることは今回初めて明らかにされた。既存の治療薬とは異なる作用機序となる小胞体ストレス誘導を標的とした治療薬の開発は、再発・難治のATLの予後改善に貢献でき、社会的意義もあると考えられる。
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