研究課題/領域番号 |
20K17402
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
原田 武志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10618359)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 成人T細胞白血病リンパ腫 / NF-kB / PIM1 / 血液腫瘍学 / HTLV-1 / TAK1 |
研究開始時の研究の概要 |
成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATL)は現在も尚治癒がもたらされず、極めて予後不良である。治療成績の向上のためには、治療抵抗性を克服する新規標的治療を開発するとともに、HTLV-1キャリアからのHTLV-1感染増幅にともなうATLへの進展防止が必要である。本研究では、ATL細胞で活性化している多岐にわたる生存シグナル経路の枢軸的媒介因子で、ATL細胞で高発現しているセリンスレオニンキナーゼTAK1とPIM1に着目し、ATLに対する新規治療標的としての有用性とともに、HTLV-1の細胞間感染伝播の拡大と、感染細胞の増殖/不死化、dormancyやsenescenceへの役割を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
NF-kB経路が構成的に活性化している成人T細胞白血病/リンパ腫 (ATL) 細胞では、NF-kB経路の阻害あるいはその枢軸的転写因子RELAの発現抑制は、アポトーシスを誘導し、PIM1発現を低下させた。さらに、PIM1発現抑制/PIMキナーゼ阻害薬PIM447は、ATL細胞に著明なアポトーシスを誘導し、RelAや転写因子c-MYBの発現を低下させた。これらの転写因子の発現低下はmRNAレベルでは認めず、翻訳阻害による機序が示唆された。PIM447とAkt阻害薬MK-2206は、協調的な細胞傷害活性を発揮し、ATLおよびHTLV-1感染細胞に対する有効な標的治療となり得る可能性がある。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
NF-kB経路とPIM1の関係を中心にATLに対する治療標的の探索を行い、PIM阻害薬とAkt阻害薬によるタンパク質合成経路の阻害が、ATL細胞において、NF-kB経路の制御因子を含む転写因子の発現を低下させ、アポトーシスを誘導できる結果を見出した。本研究成果は、ATL研究において未だ未開発で、ATL治療開発を促進できる可能性があり、学術的意義は大きい。また、HTLV-1ウイルス感染伝播やATL発症に関する研究にも裾野を拡げていく予定であり、社会的意義は今後大きくなると期待できる。
|