研究課題/領域番号 |
20K17411
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
林 嘉宏 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (30802590)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 骨髄異形成症候群 / ミトコンドリア断片化 / 自然免疫応答 / 細胞死 / DRP1 / ROS / ミトコンドリア |
研究開始時の研究の概要 |
骨髄異形成症候群(MDS)は造血幹細胞の異常に起因して発症する難治性血液がんである。その病態の本質は、腫瘍クローン拡大と細胞死の共存(無効造血)に伴う骨髄不全症であるが、詳細な発症機序はわかっていない。最近、申請者らは、MDS骨髄不全症の病態を短期間で忠実に再現するモデルマウスの作製に成功した。さらに、このマウスの造血幹細胞・前駆細胞においてミトコンドリアが分裂し、ROSが過剰に発生していることを見出した。本研究では、新規に樹立したMDS骨髄不全症マウスの詳細な解析を通じて、造血幹細胞・前駆細胞で生じたミトコンドリアダイナミクスの異常が、骨髄不全症の発症につながる機序を明らかにしていく。
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研究成果の概要 |
本研究では、新規に樹立した骨髄異形成症候群(MDS)モデルマウスの解析から見出したミトコンドリアのダイナミクス制御異常に着目し、MDS細胞におけるミトコンドリア断片化が腫瘍細胞の運命制御や疾患病態に与える影響を解析した。その結果、分裂促進因子DRP1の活性化に伴いMDS細胞のミトコンドリア断片化が促進され、それが引き金となって炎症性シグナル経路および細胞死(アポトーシスやパイロトーシス)関連遺伝子群の活性化、細胞分化障害、異形成、血球減少が生じることをつきとめた。これらの病態はDRP1阻害により顕著に改善したことから、ミトコンドリア異常がMDSにおける新規治療標的となり得ることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
MDSは造血幹細胞の異常に起因して発症し、超高齢社会において急増している難治性血液がんである。多種多様な遺伝子変異が同定される一方で、炎症性シグナル経路の活性化、無効造血、血球減少を特徴とするMDSの病態発症機序は依然としてよくわかっていない。本研究により、MDS細胞におけるミトコンドリア形態異常の存在とその機序の一端、病態発症における中心的役割が明らかとなった。これらは、今後のミトコンドリア断片化促進機序を標的とした治療法開発、多くのMDS患者にとって有効な新規治療戦略の構築に資する成果と言える。
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