研究課題/領域番号 |
20K17422
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
神谷 麻理 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (20844377)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 炎症性筋疾患 / 細胞死 / ネクロトーシス / HMGB1 / 筋傷害 / DAMPs / 小胞体ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
多発性筋炎(PM)の病態の中心は、細胞傷害性Tリンパ球を主体とした免疫細胞による筋傷害と考えられている。既存の免疫細胞を標的とする治療法では、感染症などの副作用が問題となる一方で筋炎抑制効果が不十分である症例や炎症改善後も筋力低下の残存する症例が存在する現状から、我々はPMの病態における筋細胞の役割に注目した。傷害され、細胞死に至った筋は様々な炎症介在因子を放出し更なる炎症を誘導すると考えられた。筋細胞死やそれに随伴して放出される炎症介在因子が、PMの新たな治療標的として期待される。これらの制御がもたらす効果を解明するために、培養細胞や動物モデル、そしてPM患者さんの組織を用いた検証を行う。
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研究成果の概要 |
炎症性筋疾患において、免疫細胞からの傷害を受けた筋細胞が、ネクロトーシスと呼ばれる炎症誘導性の細胞死に至ることを発見しました。ネクロトーシスに至った細胞は様々な炎症介在因子を放出して、炎症を悪化させます。炎症性筋疾患のマウスモデルに対するネクロトーシス阻害は筋の炎症や筋力低下を改善させることを示しました。さらに、ネクロトーシスに至った筋細胞から放出される炎症介在因子の一つであるHMGB1が炎症や筋力低下を悪化させる要因の一つであることを発見しました。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、炎症性筋疾患において、免疫細胞からの傷害を受けた筋細胞がネクロトーシスに至り、HMGB1などの炎症介在因子の放出を介して炎症や筋機能障害を更に悪化させることを明らかにしました。この発見により、従来は免疫細胞の単なる標的と考えられていた筋細胞が、ネクロトーシスを介して病態を増悪させる攻撃者として機能することが示されました。筋細胞の細胞死や、それに伴い放出される炎症介在因子を標的とした治療は、ステロイドや免疫抑制剤のように免疫細胞を非特異的に抑制するものではないため、感染症などの副作用が少なく、これらの標準治療で効果不十分な症例への効果も期待できる、有望な治療法である可能性があります。
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