研究課題/領域番号 |
20K17433
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
|
研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
櫻井 恵一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (50805273)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 自己免疫疾患 / T細胞 / TCRレパトア / エピゲノム / RNA-seq / T細胞 / TCRレパトア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、ANCA関連血管炎で、薬をほとんど必要としない寛解に至る患者がいる一方で、薬を使っていても再発する患者がいるのか、その差はどこにあるのかという疑問の一部を解明することを目標にしている。すでに申請者らが上記の疾患において、疾患の重症度と関係して増えたり減ったりする細胞群を見つけているため、この細胞群の性質を検討することで解明したいと考えている。スケジュールとしては1年目は検討する手法を確実なものに仕上げ、2年目と3年目は実際の患者様での細胞を使って1年目に確立した手法でデータを集め、4年目はデータをコンピュータで解析して違いを明確にする予定です。
|
研究実績の概要 |
研究代表者らは、これまでに全身性エリテマトーデス、関節リウマチに代表されるような自己抗体が陽性となる自己免疫疾患に特徴的なT細胞とB細胞の新たな細胞分画を見出した。この細胞群の性質を検討し疾患とのかかわりを検討したい。 この細胞についてトランスクリプトームプロファイルと呼ばれる、タンパク質を作る指令のパターンを読み取ること、およびエピジェネティックプロファイルと呼ばれる、その細胞毎にどのタンパク質が作られやすくなっているかのパターンを読み取ること、この2つを読み取っていくことを研究目標としている。 さらに付随して、上記の解析は現状非常にお金がかかることから、予算および行程として節約できることを目標に条件を検討している。実際はこの条件検討が本研究の核心であり、仮にそうした条件が検討されれば、それだけで1つの研究成果ともなる非常に重要な部分である。現在日夜進歩する試薬および手法の出現を可能な限り取り込もうという野心的な気持ちがある一方で、進歩の結果生まれた試薬が、実際にはメジャーとならず終売になってしまうなどの問題もあり、十分な検討と普遍的な試薬の必要があるということは現在痛感しているところである。 今後は上記の実験のプロトコルの条件検討をさらにチューニングした上で、実際の患者検体に作業を移していく。目下の仮説は、トランスクリプトームプロファイルはその時点疾患の病勢に、エピジェネティックプロファイルは治療を続けていても再燃しうる自己免疫疾患が慢性疾患であるという特徴に関わっている可能性が高いというものである。 この仮説の検討に実際に次年度は移っていくことが予定されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年年末に発見され、その後パンデミックに至ったCOVID-19感染症の影響は多岐にわたり研究の推進に影響を与えている。特に病院に所属する大学医学部の教員である我々は非常に影響を受けたと言わざるを得ない。特に、定期的にスタッフをCOVID診療にとられることによる人員不足とそれによる一人あたりの臨床業務の増加、研究に従事できる時間のかなりの制限などがあり、実際に研究に割ける時間は非常に短くなった。 さらに、物流や通関および発注手続きについても非常に制限を受けた。当初、特にこの研究で肝となるシーケンサーの入手は2020年中に行うことを予定していた。しかし、業者との打ち合わせが困難となり、また発注を始めるに当たっても、通関手続きなどスムーズに行かないことが多くあり、結果的に2021度まで納入が遅延していた。 その後は、徐々にではあるがFACSおよびPCRによる予備実験が可能な状況となり、まだ本当の症例に入ることは検体の貴重さから条件検討をより精密化する必要があると考えている。 ただ、万が一次年度2023年は最終年度であるので、当初可能ならデータを取りたいと思っていたncRNAについては、今回は取捨選択をする必要はあるかも知れない。 また、現実的にアダプター付加の方法をもう少し洗練化する必要はありそうであると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度、2021年度はCOVID-19感染症によって研究活動に非常に制限を受けた年度であった。そのため条件検討が本来であれば2021年には確立していく予定で あったが、進められなかった。ただし、実験の特性として、条件検討を十分に行うことがもっとも重要なフェーズであり、ここをおろそかにするとデータの質に影響するのはもちろん、必要な予算にも多くの影響を与えてくる。 上記現状に記したようにまだ条件を洗練化出来ると考えており、特に試薬は削減が可能なのではないかという野心的なもくろみもある。少ない試薬・予算で最大限のデータを取得すること自体がこの研究の革新的な部分であり、また核心でもある。 そのことに留意したうえで、本年は実際の患者検体を”洗練された”プロトコルのもとに行っていきたいと考えている。
|