研究課題
若手研究
全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus; SLE) の治療は、ステロイドを軸に複数の免疫抑制薬の併用を基本としてきたが、現在でもより副作用の少ない、疾患特異的な新規治療薬剤の開発が求められている。申請者らは、SLEの新規治療標的として好中球などの自然免疫系にかかわる免疫細胞に注目している。現時点で好中球特異的なSLE治療薬は存在しておらず、本研究においてはSLEでの好中球が与える他の免疫細胞の質的変化に関する機序を解明し、SLEの新規治療標的を同定することを目的とする。
全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus; SLE) の治療薬として、より副作用の少ない、疾患特異的な新規治療薬剤の開発が求められている。申請者は、SLEの新規治療標的として好中球などの自然免疫系にかかわる免疫細胞に注目し、好中球が他の免疫細胞へ与える影響という観点から治療標的の検討を行った。SLEにおいて好中球細胞外トラップ (NETs) 形成の重要性が報告されているものの、末梢血でNETsが増加している患者群の特徴は明らかではなかった。そこで、まずはSLE患者血清中のNETsを測定し、血清NETs高値の患者は抗二本鎖DNA抗体低値で末梢血単球数、CRPが上昇していることを同定した。次に、好中球が他の免疫細胞へ与える影響を調べるため、血清NETs高値の患者で末梢血単球数が増加していたことに注目し、好中球が単球へ与える影響に関して検討した。NETsを含む免疫複合体で単球を刺激すると単球が活性化することをフローサイトメーターを用いて確認し、今回同定した血清NETsが増加しているSLE患者群において単球活性化がCRP上昇で特徴づけられる炎症と関連していることが示唆された。SLEは遺伝学的にも臨床的にも非常に多様な集団であることが知られており、それぞれの患者への最適な医療を行うためには患者層別化が必要である。本研究において、SLE患者において血清NETs高値で炎症反応高値の新規亜集団が同定でき、同患者群に対する単球活性化に関連した炎症機序に主眼をおいた治療を優先するなど今後の治療戦略決定に役立つ可能性がある。得られた結果をまとめた論文を現在投稿中である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
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