研究課題/領域番号 |
20K17467
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
尾田 一貴 熊本大学, 病院, 薬剤師 (00753328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 抗菌薬 / 薬剤耐性菌 / TDM / HPLC / βラクタム系薬 / 個別投与設計 |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤耐性菌(AMR)感染症は死亡率が高く、人類の存亡をかけた重大懸念事項である。この課題に対して、AMR感染症であろうと抗菌薬濃度を最大殺菌効果に必要なレベルまで引き上げることで、AMR感染症を治療できる可能性を見出してきた。そこで本研究の目的は、患者それぞれで抗菌薬濃度を測定し投与量調節を行う(ベイズ推定に基づいたTDM)ことで、AMR感染症に対する治療成績および安全性を評価することである。
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研究実績の概要 |
βラクタム系薬はその高い安全性から、たとえ従来の基準で薬剤耐性と判断された病原体においても、抗菌作用が得られる濃度を安定して推移させることで、治療効果が得られる可能性がある。本研究ではtherapeutic drug monitoring(TDM)により、βラクタム系薬の濃度を有効濃度域で確実に推移させることにより、その治療成績及び安全性を評価することである。2022年度は18名(2020年度は21名)(うち、耐性菌の治療で3名を含む)の患者において治療目的でβラクタム系薬のTDMを実践した。その結果、やはり従来の基準で薬剤耐性と評価された場面において、本手法を適用することにより、より毒性の高い抗菌薬の使用、およびさらに広域の抗菌薬使用を避けることが可能な症例を認めた。これらのデータについてさらに集積を行い、その評価を行う予定である。また高速液体クロマトグラフィーによる血中濃度測定系についてもさらにブラッシュアップを続けており、βラクタム系薬としては現在13剤を迅速に測定することが可能である。また、安全性の観点からもβラクタム系薬のTDMの意義が示されつつある。濃度依存性に発症する意識障害、脳症が報告されているセフェピムに関し、その鑑別の目的で血中濃度測定を実施すると、いずれも通常よりも高い濃度推移を認めた。感染症診療においては投与量不足をまず回避することが重要であることから、セフェピムに関する中枢神経性有害事象を回避するためにはTDMが有用であると考えられる。 本研究において、臨床現場においてβラクタム系薬のTDMを実践することで薬剤耐性菌に関連する諸問題の解決策の一端を担うとともに、安全性を最大限に高めた医療を患者に提供していく所存である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薬剤耐性菌の検出歴および治療必要性に応じて本手法は適用される。2022年度は3名と年間目標の10名には届いていないが、それまでの検出患者による評価も含めると、おおむね順調であると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
本年度において実施された耐性菌治療に関するβラクタム系薬の血中濃度測定及び投与量最適化の実績を踏まえ、論文執筆を行う予定である。
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