研究課題/領域番号 |
20K17469
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
今北 菜津子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50865566)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | インフルエンザウイルス / ウイルス性脳症 / ヒストン修飾酵素 / SETDB2 / 血管内皮細胞 / 炎症性サイトカイン / 肺炎 / 脳症 / 血管内皮 / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
インフルエンザウイルスは毎年多数の感染者を出し、特に脳症や肺炎は重症化する。申請者は、インフルエンザ脳症モデルマウスの脳におけるヒストン修飾酵素SET domain bifurcated 2(SETDB2)の発現上昇が、脳血管内皮細胞におけるCaveolin-1の発現抑制を誘導することで、脳症に特徴的な脳浮腫を引き起こすことを明らかにした (Sci Rep. 9; 284, 2019)。インフルエンザ感染の重症化にSETDB2が深く関与している事が示唆され、本研究ではインフルエンザ感染症の重症化に関わる分子メカニズムを明らかにし、重症化予測マーカーならびに新規予防法・治療法の開発に発展させる。
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研究実績の概要 |
申請者は、これまでにインフルエンザ二次性肺炎による重症化マウスモデルの肺やインフルエンザ脳症マウスモデルの脳血管内皮細胞で、転写抑制に働くヒストンH3K9のメチル化酵素であるSET domain bifurcated 2(SETDB2)が有意に発現上昇していることを見出だした。また、脳症マウスモデルにおいてSETDB2がcaveolin-1(Cav1)の発現を制御することが病態の悪化と関連する可能性を見出だし、インフルエンザウイルス感染症の重症化におけるSETDB2の関与を明らかにしてきた。
本研究はインフルエンザウイルス感染症の重症化に関わるSETDB2の分子メカニズムを明らかにし、重症化予測マーカーならびに新規予防法・治療法の開発に発展させることを目的とした。SETDB2を欠損するマクロファージを解析し、インフルエンザウイルス感染やin vitro二次性細菌感染モデルにおいても炎症性サイトカインの発現が顕著に上昇することを明らかにし、感染時の炎症性サイトカインの発現制御にSETDB2が深く関与していることを明らかにした。一方、血管内皮細胞特異的にSETDB2を欠損マウスのインフルエンザウイルス感染モデルでは、肺炎症や炎症性サイトカイン発現に対する有意な影響は認めなかった。また、インフルエンザ脳症モデルでも有意差はみられず、血管内皮細胞におけるSETDB2の病態への寄与は 主病態ではない可能性が示唆された。以上の結果より、インフルエンザウイルス感染症の重症化において、SETDB2はマクロファージの炎症反応制御に働き、病態をコントロールする可能性が示唆されるがその主な経路についてはさらなる解析が必要である。
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