研究課題/領域番号 |
20K17473
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
稲葉 正人 藤田医科大学, 医学部, 客員講師 (10836050)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌 / ノルアドレナリン / アミノグリコシド / バイオフィルム / カルバペネム耐性腸内細菌科細菌 / 宿主ストレスホルモン / 細菌の増殖速度 / バイオフィルム産生量 / ノルアドレナリンによる薬剤耐性化機構 |
研究開始時の研究の概要 |
宿主由来のストレス関連ホルモンであるノルアドレナリン(以下NA)が細菌に作用し、病原因子の産生を促進させるとの報告がある。しかし細菌の薬剤感受性に対するNAの作用については、一部の細菌に対して特定の抗菌薬の感受性を低下させるとの報告があるものの、多くの細菌については不明であり、そのメカニズムについても明らかにされていない。 本研究では、NAによる抗菌活性低下作用が特に問題になることが予想されるカルバペネム耐性腸内細菌を研究対象菌株とし、NAにより活性が低下する抗菌薬の同定、およびRNAシーケンスによるNA存在下・非存在下での遺伝子発現の定量解析により、NAによる薬剤耐性化機構の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
カルバペネマーゼ産生Enterobacter hormaechei 2株 (ST78:FUJH0008、ST133:FUJH0057)を研究対象菌株とし、ノルアドレナリン(NA)によるバイオフィルム産生性への影響とアミカシン、ゲンタマイシンの抗菌活性に対する影響について検討した。まず10μMのNA存在下および非存在下でbiofilm formation assayを実施した。FUJH0008では、570nmの吸光度(OD570)で示されるbiofilm densityが、NA非存在下では平均0.132であったのに対し、NA存在下では平均0.292に増加した。FUJH0057おいても、NA非存在下での平均OD570が0.135(SD, 0.034)から、NA存在下で0.359へ増加を認めた。次に10μMのNA存在下および非存在下で、アミカシン、ゲンタマイシンのTime-kill assayを行った。1×MICのアミカシン、ゲンタマイシンでは、NAを含む培地中の生菌数はNAを含まない培地と比較して、接種後8時間で約1~2 log cfu/mL、接種後24時間で約2~3 log cfu/mL多かった。2×MICのアミカシンでは、両菌株とも8時間後にNAを添加した培地の生菌数の方が約1~2 log cfu/mL多く、24時間後にはNAを添加しない培地では生菌が確認されなかったが、NAを添加した培地では4~5 log cfu/mLの生菌数が検出された。対照的に、2×MICのゲンタマイシンでは、NAを含む培地での生菌数の増加は接種後24時間でのみ観察され、おおよそ2~3 log cfu/mLの増加であった。4×MICのアミカシンおよびゲンタマイシンでは、菌数の有意差は接種後24時間でのみ観察された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年度の研究計画では、1) RNA シーケンスによるNA存在下・非存在下での遺伝子発現の定量解析、2) リアルタイムPCRによる標的遺伝子のmRNA定量解析を行 う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行の影響などで、試薬や機材の搬入が大幅に遅れ、計画通りには施行することができなかった
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の検討で、ノルアドレナリンによってカルバペネマーゼ産生E. hormaecheiに対するアミノグリコシドの抗菌活性が低下することが確認できたため、今後はアミノグリコシド系抗菌薬の活性低下に関与する遺伝子を同定するため、網羅的な遺伝子発現解析を行う予定である。
|