研究課題/領域番号 |
20K17488
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
柳町 剛司 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20596275)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | グルカゴン / オキシントモジュリン |
研究開始時の研究の概要 |
血糖上昇作用のあるグルカゴンは糖尿病の病態形成において非常に重要なホルモンである が、既存の測定法では感度や特異度、生理活性を評価する点において依然として問題点が存在する。申請者は受容体を介したバイオアッセイ法を用いてグルカゴンの生理活性を評価したところ、オキシントモジュリン(OXM)もグルカゴン活性を有していることがわかった。一方OXMはグルカゴンのELISA法ではほとんど検出できなかった。よって、既存の測定法ではグルカゴンの血中濃度と生理活性の間にミスマッチが生じている可能性が高い。グルカゴン作用という新たな観点から糖尿病の病態を明らかにすることで、糖尿病治療の進展に寄与すると考える。
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研究実績の概要 |
これまでに申請者は、グルカゴンがDPP-4及びNeprilycin(NEP)によって不活化されるが、オキシントモジュリン(OXM)はNEPによって不活化されないことを確認している。OXMはN末端から29個のアミノ酸配列がグルカゴンと同じで、C末端側に8個のアミノ酸が延長した37個のアミノ酸から成るホルモンで、グルカゴンと非常に類似した構造を有する。そこで、このOXMがNEP存在下ではどのような影響を受けているのかについて、LC-MS/MSを用いて詳細な検討を行った。 まず最初にNEP存在下でのグルカゴンのLC-MS/MSを行った。NEP存在下でグルカゴンは大きく3つのピークが確認され、そのうちの1つを更に詳細に分析すると、3つのピークが確認され、NEPによってグルカゴンは計5つの分解産物が存在することが明らかになった。OXMもグルカゴンと同様にNEP存在下での検討を行うと、大きなピークが1つのみ確認できた。更に分析すると、分子量が184.12減少したペプチドに変換されたことが明らかとなった。OXMがNEPによって生成されるペプチドの構造を推定すると、OXM(1-37)のC末端側の2つのアミノ酸が欠失したOXM(1-35)が生成されることが推定された。そこでOXM(1-35)を合成し、LC-MS/MSで確認すると、NEP存在下でのOXM(1-37)の分解産物と、合成したOXM(1-35)のピークが一致することを確認した。 OXMはグルカゴン/GLP-1のdual agonistであるとの報告があるため、OXM(1-35)の受容体活性をin vitroで確認すると、OXM(1-35)はOXM(1-37)とほぼ同等のグルカゴン及ぶGLP-1受容体活性を有していた。今後はin vivoでOXM(1-35)がどのような生理作用を有しているのか検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験施設で蟯虫・原虫感染が報告され、動物実験施設へのアクセスが制限されているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はOXM(1-37)の分解産物であるOXM(1-35)をマウスに投与し、耐糖能をはじめとした全身の代謝に及ぼす影響を評価・検討する予定である。
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