研究課題/領域番号 |
20K17545
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
武友 保憲 近畿大学, 医学部, 講師 (20580591)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 免疫関連有害事象 / 甲状腺機能障害 / 下垂体機能障害 / 1型糖尿病 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 内分泌機能障害 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント機構は本来、過剰な自己免疫反応を制御し、自己免疫性臓器破壊を防ぐ生体防御機構であるが、これを構成する免疫チェックポイント分子は腫瘍免疫を介して進行癌における治療抵抗性の要因となっている。免疫チェックポイント阻害薬によって「過剰な自己免疫反応の制御」が解除され生体の恒常性維持に不可欠な内分泌細胞が破壊されると有害事象として重篤なホルモン欠損症を発症する。本研究では免疫チェックポイント阻害薬使用により生じるホルモン欠損症の発症予測因子を解明し、自然発症のホルモン異常である1型糖尿病、橋本病との遺伝素因や臨床指標を比較検討することにより、未解明の免疫寛容メカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
内分泌臓器を標的とする免疫関連有害事象(irAE)の頻度は、甲状腺、下垂体、膵β細胞(1型糖尿病)の順で高頻度であった。甲状腺irAEにおける甲状腺自己抗体陽性率は62.5%であった。irAEによる1型糖尿病の膵島関連自己抗体陽性率は33.3%であり、全例でインスリン依存状態となった。下垂体irAEでは、ACTH単独欠損が54.8%と最多であった。HLA疾患感受性ハプロタイプについて、甲状腺irAEは自己免疫性甲状腺疾患と、irAEによる1型糖尿病は自然発症1型糖尿病とそれぞれ同程度に保有しており、irAEは標的臓器を同じくする自然発症自己免疫疾患と遺伝的に類似性を有する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
免疫チェックポイント阻害薬の進行癌への適応拡大に伴い、免疫関連有害事象(irAE)の発症件数が増加し、緊急に専門的な対応が必要となるケースが年々増加している。本研究での内分泌関連irAEの臨床指標・遺伝因子について解析結果は、irAEの発症予知法の開発、ないしは病態解明を推進し、担癌患者の生命予後の改善に寄与するものと思われる。また、自然発症の内分泌機能障害発症者との遺伝素因の比較検討は、irAE発症の病態解明にとどまらず、標的臓器を規定する中枢性免疫寛容・末梢性免疫寛容の役割の解明にもつながるものと考える。
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