研究課題/領域番号 |
20K17546
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤好 真人 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90844720)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 肝移植 / 虚血再灌流傷害 / 機械灌流 / 無虚血肝移植 / 胆管傷害 / 臓器灌流 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、まず、ラットIFLTモデルやラット肝移植モデルにおける虚血性胆管傷害の誘導などのこれまでに成功例のない高難度の動物モデルの確立に注力する。さらにNMPによる臓器コンディショニング、臓器修復の方法論を検討し、至適条件を確立する。最終的には、小動物IFLTの実験系と高リスク肝グラフトのNMPによる修復、コンディショニング法と組み合わせた新規肝移植術式の有用性を検討する。小動物実験系のメリットを活かした詳細な解析を行う。特に、移植後のグラフト傷害を予測し得るマーカーを探索するために、肝組織、灌流液、胆汁の網羅的に解析し、既知の候補マーカー分子の信頼性も検討する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、当研究の実験系であるラット無虚血肝移植モデルの安定化を中心に研究を進めた。このモデルは複雑な手術操作を必要とするため、技術的な習熟と機材の改善の両面から実験モデルの改良を図った。灌流ポンプの変更により抵抗の強い細径カテーテルの使用が可能となったため、これまでよりも精密な操作が可能となった。ドレナージ系の安定はこのモデルにおける最重要課題であるが、ドレナージカテーテルの素材、サイズおよび加工法の検討により、術中に大きく移動、変形操作を受けるグラフト内で安定したドレナージ経路を確保することに成功した。ドレナージ圧についても、ポンプを用いたアクティブドレナージも含めた検討の結果、落差による自然排液で安全で良好なドレナージを達成した。術式についても、機械灌流の開始時と停止時の操作を定型化した。ドナー手術では、門脈カニュレーション後、肝下部下大静脈切開すると同時に機械灌流を開始し、その後速やかにcavotomyとドレナージカテーテルを併用しながらドレナージを障害しないようにドレナージカテーテルを肝静脈内まで進め、ドレナージカテーテルを灌流回路に接続した後にcavotomyを閉鎖するという手順により安全な機械灌流開始が定型化された。また、レシピエント手術では、肝上部下大静脈をクランプしたまま、門脈のunclampと同時に機械灌流を停止し、その後速やかにドレナージカテーテルを抜去し、肝下部下大静脈をクランプし、肝上部下大静脈をunclampするという手順により安全な機械灌流の停止が定式化された。この方法は臨床における無虚血肝移植をよく再現しており、虚血時間もゼロにできている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究において中心的な実験系となる、ラット無虚血肝移植モデルは、世界的にも未だ報告のない難易度の高いモデルであり、その構築に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究成果によりレシピエントラットの生存が安定的に得られるまでに無虚血肝移植術の術式としての完成度は高くなっている。今後は、酸素担体を用いたnormothermic machine perfusionの導入を行う。
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