研究課題/領域番号 |
20K17547
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 一広 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80794528)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 免疫寛容 / 制御性T細胞 / CD4T細胞 / B細胞 / リツキシマブ / IL-10 / 糖鎖 / 生体腎移植 / 血液型不適合 / 血液型適合 / coding RNA / T細胞 / CD4 / CD8 / 血液不適合移植 / リツキサン / 腎移植 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫寛容を誘導する研究が長年行われてきたが、確立された方法はない。血液型不適合移植後、リツキシマブで除去されたB細胞が末梢血中に戻った後も、抗赤血球抗体が産生されないことを臨床的に経験する。T細胞がB細胞に対して何らかの免疫寛容を誘導していることが想定されるが、詳しい機序は解明されていない。我々は予備実験で、リツキシマブ使用後にT細胞のマンノース系糖鎖発現が増加し、これが移植後長期に渡って保存されることを確認した。今回、移植免疫学で注目されてこなかった「糖鎖」に着目し、血液型不適合移植後のT細胞の糖鎖発現を調べることで、免疫寛容を誘導する糖鎖を同定し、免疫寛容の誘導に応用できるかを検討する。
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研究成果の概要 |
血液型不適合移植で使用するリツキシマブ(Rx)によるB細胞免疫寛容に着目し、Rx後のCD4とCD8の糖鎖変化解析を目的とした。人的要因で糖鎖解析ができなくなり、適合一致症例(N=4)と不適合症例(N=4)で術前(Rx投与前)、術後6か月のCD4とCD8のcoding RNA解析を行った。適合一致と不適合術後のCD4のRNA発現を比較すると、制御性T細胞(Treg)がB細胞活性化に関与するIL-10発現量が不適合移植後に7倍増加していた。Th2とCD8がB細胞活性化に関与するサイトカインに変化はなかった。RxがT細胞を介したB細胞免疫寛容に、TregのIL-10が関与している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
臓器移植の現状において、免疫抑制剤は移植片の生着を得るために必須であるが、免疫抑制剤に多彩な重篤な副作用があり、免疫抑制剤に頼らない免疫抑制療法が模索されている。実臨床では、機序不明の免疫寛容を経験することがあり、リツキシマブ投与後のB細胞に対する免疫寛容はその一例である。本研究では、当初目的とした糖鎖解析の変化を明らかにできなかったが、coding RNAを網羅的に解析し、リツキシマブがT細胞を介したB細胞の免疫寛容に関与する機構として、制御性T細胞のIL-10が関与している可能性が示唆された。本研究は、近年注目されている制御性T細胞による免疫抑制・免疫寛容誘導療法を後押しする結果となった。
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