研究課題/領域番号 |
20K17574
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山木 聡史 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (30747887)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 壊死性腸炎 / 腸管免疫 / 低い出生体重児 / 新生児 / 免疫寛容 / 低出生体重児 |
研究開始時の研究の概要 |
マウス経口免疫寛容NECモデルを作成し、その病態の解明及び治療法の開発を目指す。食事抗原に感作された母体由来のIgG及びその免疫複合体を含む母乳を介した新生児への経口免疫寛容の誘導がNEC発症の抑制に寄与する事、また免疫複合体の新生児への経口投与(ワクチン)のNEC治療法としての有効性を解明する。さらにこの免疫寛容の成立に重要な胎児性 Fc 受容体(Neonatal Fc receptor, FcRn)の欠損マウスを用いたNEC病態解析と、FcRnヒトホモログであるFCGRT遺伝子のヒトNEC症例でのゲノム解析を行い、NEC発症におけるFcRnの機能を明らかにする。
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研究実績の概要 |
壊死性腸炎(NEC)は腸管免疫の未熟性を背景とし過剰免疫応答により発症するとされ ており、特にToll-like receptor(TLR4)に関連した過剰免疫応答が注目されている。また、胎児性Fc受容体(FcRn)は腸管に発現し、腸管免疫制御に重要な役割を果たすことが知られている。そこで、我々は、ヒト組織における、TLR4、FcRnの発現状況を検証することとした。 宮城県立こども病院において、NECおよび関連する病態である特発性/限局性腸管穿孔(FIP/LIP)、胎便関連性腸閉塞症(MRI)により手術を施行した症例の手術検体のパラフィンブロックや手術時の臨床情報を収集した。また、上記症例のうち人工肛門造設/閉鎖術を施行した症例では、人工肛門閉鎖時の腸管切除検体のパラフィンブロックと手術時の臨床情報も収取した。TLR4,FcRnの免疫染色用の抗体を購入し、条件検討を行い現在、上記症例のパラフィンブロックを薄切し、免疫染色を施行中である。免疫染色後には、染色したスライドをAperio AT2(Leica microsystems, Japasn)を用いて、デジタル変換を行い、画像解析ソフト(Halo imaging analysis software; Indica Labs, New Mexico,USA)を用いて解析予定である。 特に、本研究では、TLR4,FcRnの腸管上皮における発現を測定する予定である。疾患ごとの違いや初回手術時から人工肛門閉鎖術時での腸管免疫の状態の経時的変化を測定する予定である。 また、コントロールとして正常腸管は剖検例の腸管を使用することで、正常腸管とNEC、FIPP/LIP、MRIを比較することでヒト組織における腸管免疫の未熟性を検討し、NECなどの病因との関連と発症機序を解明したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が岩手県在住で、研究機関との行き来が新型コロナウィルス感染症の流行のため制限されていたが、流行が落ち着きつつあり、研究機関との往来も可能のなりつつあり、また東北大学以外に宮城県立こども病院との連携も可能となったため、研究を進められつつある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き宮城県立こども病院および東北大学での手術標本、臨床情報を収集する。TLR4,FcRnなどの免疫染色用の抗体はすでに購入し、条件検討を行っており、免疫染色を実施中である。免疫染色後解析は、上述のごとく染色したスライドをAperio AT2(Leica microsystems, Japasn)を用いて、デジタル変換を行い、画像解析ソフト(Halo imaging analysis software; Indica Labs, New Mexico,USA)を用いて解析予定で、免疫染色およびその解析は、必要な機材なども含め宮城県立こども病院および東北大学病理部の協力のもと実施可能な状況にある。 LR4,FcRnの腸管上皮における発現に注目した本研究において、関連する疾患による違い、胎児や新生児を含む剖検例の正常腸管との比較、同一症例における腸管免疫の状態の経時的変化などを解析することにより、ヒト組織における腸管免疫の未熟性を背景とするNECなどの病態が解明できると考えている。本研究を推進することにより、NECなどの疾患の病因とその発症機序を解明したいと考えている。
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