研究課題/領域番号 |
20K17583
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
網岡 愛 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 専門研究員 (90727207)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Wnt5a / ホルモン陽性乳癌 / CYP / 薬剤感受性 / タモキシフェン / パクリタキセル / パスウェイ解析 / 代謝基質 / breast cancer / cytochrome P450 / pathway analysis / drug sensitivity / ER-positive / drug resistance / 乳癌 / シグナル伝達 / 薬剤耐性 / 臨床 |
研究開始時の研究の概要 |
Wnt5aは、Wntシグナル伝達経路の一つであるβ-カテニン非依存性経路の代表的なリガンドであり、 肺癌などで予後・悪性度に関連していることが報告されている。申請者らは、Wnt5a陽性乳癌はホルモン陽性乳癌に属し、その悪性度は高く、予後不良因子となることを明らかにした。また、Wnt5a発現に伴い発現亢進するタンパクとしてALCAMを同定した。更にWnt5a発現により発現亢進した遺伝子が、タモキシフェン代謝に関与するCYP2D6の下流に認められることを明らかにした。本研究ではWnt5a陽性乳癌に対する薬剤耐性メカニズムの解明、抗Wnt5a/ALCAM抗体を用いた新規治療の開発を目的とする。
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研究成果の概要 |
Wnt5a 陽性乳癌は、エストロゲン受容体陽性乳癌に分類され、その予後はWnt5a陰性よりも不良である。Wnt5a を恒常的に発現する MCF-7 細胞 [MCF-7/Wnt5a(+)] の遺伝子発現解析では、チトクローム P450 (CYP) 経路のみが MCF-7/Wnt5a(+) で発現亢進していた。更に、MCF-7/Wnt5a (+) は、CYP代謝基質であるタモキシフェン、パクリタキセル、シクロホスファミドに対する感受性の低下を示したことから、Wnt5aはCYP代謝経路を亢進させ、上記3剤への感受性を低下させることで、Wnt5a陽性乳癌の予後不良に関与する可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで我々は、Wnt5a陽性乳癌はER陽性乳癌に属し、Wnt5a陰性に比べて予後が悪いことを明らかとした。本研究ではWnt5a発現が乳癌治療薬に対する薬剤感受性に影響を与えるという仮説を検証したことに意義がある。結果、Wnt5a発現によりCYP代謝の発現が亢進し、その代謝基質のパクリタキセル・タモキシフェンへの薬剤感受性が、Wnt5a発現に伴い低下したことを突き止めた。Wnt5a発現は、それ自体への抗体治療が有用である可能性だけでなく、ER陽性乳癌に対する薬剤耐性のマーカーになる可能性がある。その薬剤耐性解除をターゲットとした新規薬剤開発の可能性も期待される。
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