研究課題/領域番号 |
20K17591
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小谷 依里奈 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70868398)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | HOX遺伝子群 / 乳癌 / HOX遺伝子 / 乳がん / サブタイプ / HOX / 網羅的解析 / 予後予測 |
研究開始時の研究の概要 |
ホメオボックス(HOX)遺伝子群は悪性腫瘍での異常発現が注目されており、アレイデータを用いた前実験の結果から乳癌の予後と関わる分子生物的な役割を担っていることを我々は示した。さらに、PAM50により分類されたLuminal B症例ではHOX遺伝子群の発現パターンにより予後が規定される。これら知見を確固とするために、乳癌細胞における全38種類のHOX遺伝子の発現を網羅的に解析し、サブタイプや予後を含めた分子生物学的意義を明らかにすることを目的とした。これにより乳癌の基礎的な悪性化メカニズムの解明と、新たな多遺伝子アッセイの創造と確立が予測され、基礎・臨床両面における貢献が期待されると考えられる。
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研究成果の概要 |
HOX遺伝子群は39個の遺伝子からなり、胎生期にはHOX遺伝子群内で強く共変動しているため、乳癌における役割を解明するにHOX遺伝子群全体の網羅的解析を施行した。全ヒト遺伝子の中で、各HOX遺伝子と共変動する遺伝子は染色体上で隣接する他のHOX遺伝子であった。公共データベースから702例の乳癌データを集めメタ解析を行ったところ、HOX遺伝子群を用いたクラスタリングにより、Luminal B乳癌患者において、無再発生存に有意な差を認めた(p=0.006)。また予後不良クラスターにおいて、Wnt経路の活性化がより強くみられ、HOX遺伝子同士の相関がより強かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
HOX遺伝子群の発現は腫瘍内で強く連動し合い、サブタイプ毎に連動パターンが異なること、またLuminal B症例ではHOX遺伝子群の発現パターンにより予後が規定されることが判明した。すなわち、HOX遺伝子群の網羅的解析により、乳癌の予後を規定することができ、発生時にHOX遺伝子の上流シグナルとして働くWnt経路の活性化を反映していると考えられた。これらの結果から胎生期にHOX遺伝子の強い共変動がみられることと同様の現象が、予後不良な乳癌にも認められ、胎生期と癌におけるHOX遺伝子群の挙動に関して興味深い類似性が示唆され、腫瘍生物学的に重要な意義を持つと考えられた。
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