研究課題/領域番号 |
20K17606
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2022-2023) 東京医科歯科大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
新部 彩乃 (樺嶋彩乃 / 樺嶋) 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20445448)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | cGAS-STING / 腫瘍免疫 / 癌関連線維芽細胞 / 癌免疫微小環境 / 癌間質細胞 / cGAS / 癌間質 / CTL / 膵臓癌 |
研究開始時の研究の概要 |
癌免疫療法はいくつかの癌種でその効果が示されている一方で、膵臓癌においてはその感受性は低く、残念ながらほとんど効果が見られていない。元来、ウイルス感染などの際に感染細胞の排除機構として機能するcGAS-STINGシグナルは、腫瘍細胞においても細胞死をもたらすことのできるシグナルであることが近年示されており、免疫システムの活性化を引き起こすだけでなく、免疫細胞の癌組織への浸潤および攻撃を促す。本研究課題では膵臓癌においてcGAS-STINGシグナルを増強させ、免疫チェックポイント阻害剤などとの併用による治療効果などについて動物モデルなどを用い、検討を行う。
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研究成果の概要 |
自然免疫機構の一つとされるcGAS-STINGシグナルは抗腫瘍機構においても免疫促進作用を有することが知られている。本研究課題では膵臓癌組織検体中のシグナル活性化レベルを解析し、その増強に基づく新規治療戦略の提案を目的とし検討を進めた。膵臓癌症例の約50%でcGASおよびSTING両方の発現が観察され、活性が維持されていた。また、そのシグナル活性と細胞傷害性T細胞の間質-腫瘍組織への浸潤レベルには正の相関が認められ、更に癌関連線維芽細胞の性質にも相違を認めた。以上のことから、癌細胞を取り巻く癌関連線維芽細胞自身の性質もまた腫瘍免疫効果を担う細胞傷害性T細胞の浸潤に関与する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵臓癌は一般的に種々の治療に対して抵抗性の性質を有することが知られる。その原因としては、膵癌組織特有の豊富な間質組織が乏血状態を形成し、治療薬剤の局所への到達を妨げていることなどが挙げられているが、本研究課題内で明らかにした膵臓癌症例におけるcGAS-STINGシグナルの有無と細胞傷害性T細胞浸潤比率の相関性はcGAS-STINGシグナルが免疫細胞の癌局所浸潤に関与することだけでなく、癌細胞周囲の特異的間質細胞の存在および特徴もまた腫瘍免疫反応に関与する可能性を示した。 このことは奏功性が低いとされる膵臓癌における癌免疫治療効果改善への足掛かりとなるものと思われる。
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