研究課題
若手研究
本研究は、活性酸素種の産生に関与するNADPH oxidase 5(NOX5)の大腸癌における発現・機能、ならびに産生された活性酸素種の細胞内輸送機構を解析し、大腸癌進展への関与を解明するという、世界的にもこれまでにない斬新な視点からの研究であると言える。もし、NOX5ならびに産生される活性酸素種が大腸癌の癌進展に関与していることが判明すれば、NOX5機能ならびに活性酸素種輸送機構の制御が新たな大腸癌治療としての標的となる可能性を秘めている。
ヒト大腸癌細胞株を使用し、活性酸素種(ROS)の産生に関与するNADPH oxidase 5(NOX5)遺伝子発現を抑制したところ細胞増殖、細胞周期、細胞遊走浸潤能が抑制されることを見出した。またマイクロアレイ解析にてNOX5遺伝子発現の抑制により細胞周期に関与する遺伝子が数多く変化していることを確認した。細胞外ROS(過酸化水素)濃度はNOX5遺伝子発現により明らかな変化はなく、今回の一連結果は細胞外ROS濃度変化とは別機序でシグナル伝達変化が起きていると考えられた。以上結果は、学会や論文にて発表した。
本研究はヒト大腸癌細胞株を使用し、近年注目されている活性酸素種産生に関与するNOX5の大腸癌における発現・機能の解析を行い、大腸癌進展への関与を解明した初めての報告である。また、我々はヒト大腸癌組織でもNOX5発現が高度であれば予後不良となることをこれまでに確認、報告している。今後、さらに研究を進めることによりNOX5機能の制御が新たな大腸癌治療としての標的となる可能性を秘めており、学術的・社会的意義は大きいものと考えられる。
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International Journal of Oncology
巻: 59 号: 2 ページ: 63-63
10.3892/ijo.2021.5243