研究課題
若手研究
直腸癌の肛門温存手術後に高頻度で起こる排便機能障害は低位前方切除後症候群と呼ばれ、その発生メカニズムは解明されていない。本研究では、手術前後の3次元肛門周囲構造と肛門内圧を比較検討し、手術によってどのような解剖学的な変化をもたらし、肛門内圧や排便習慣に影響を与えているかを明らかにする。そして、画像解析と臨床情報を統合解析を行い、術後の排便機能予測モデルを構築する。本研究は、術後の排便機能を改善するための術式開発や術前・術後早期の排便訓練ブログラムの介入やワーク・ライフ・バランスを考慮した治療選択に寄与するものである。
直腸癌手術後に起こる排便機能障害に関する研究を行った。肛門周囲臓器の定量評価を行うために、MRI画像からAI技術を用いて骨盤周囲筋肉を3次元構築し解析できるソフト開発を行った。11個臓器をAI技術を用いて自動抽出できるモデルを作成した。臓器抽出に8時間かかった作業が5分で作成することができた。このモデルを使って加齢と肛門周囲筋肉の体積を比較すると、加齢により肛門挙筋や尾骨筋の体積が減少する傾向にあった。直腸癌患者の術後排便機能の調査においては、術後6ヶ月が最も悪化しており、その後は徐々に改善した。直腸切離位置が低いと排便機能を悪化させ、術前化学療法は術後排便機能の増悪因子でなかった。
骨盤MRI画像からAI技術を用いて骨盤周囲筋肉を3次元構築し解析できるソフトウェアの開発を行った。境界の不明瞭な肛門周囲の筋肉を自動抽出する技術は前例がなく、肛門周囲の筋肉を定量評価できるツールとして意義のある成果である。今後は本モデルを使って肛門周囲の構造解析や機能との関連性を比較することで排便機能解析に重要なツールとなると考える。近年、直腸癌の術前治療として放射線治療を組み合わせた治療が普及しているが、排便機能の悪化が示唆されている。本研究では化学療法は排便機能の悪化因子にはならないことが示唆され、根治性と機能温存の両立できる治療として提案される可能性がある。
すべて 2023 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
癌と臨床
巻: 第67巻 ページ: 111-119
Asian Journal of Endoscopic Surgery
巻: 15 号: 3 ページ: 642-646
10.1111/ases.13033
Techniques in Coloproctology
巻: 26 号: 9 ページ: 761-762
10.1007/s10151-022-02625-w
Colorectal Disease
巻: 25 号: 2 ページ: 335-336
10.1111/codi.16310
巻: 15 号: 2 ページ: 443-448
10.1111/ases.12990
消化器外科
巻: 44 ページ: 1417-1424
Surgical Case Reports
巻: 6 号: 1 ページ: 257-257
10.1186/s40792-020-01013-6
Journal of Surgical Oncology
巻: 122 号: 8 ページ: 1647-1654
10.1002/jso.26222
巻: 22 号: 9 ページ: 1200-1200
10.1111/codi.15042
Diseases of the Colon & Rectum
巻: 63 号: 5 ページ: 693-700
10.1097/dcr.0000000000001608
International Cancer Conference Journal
巻: 9 号: 4 ページ: 170-174
10.1007/s13691-020-00424-4
手術
巻: 74 ページ: 1837-1848
臨床外科
巻: 75 ページ: 59-62
胆と膵
巻: 41 ページ: 751-756