研究課題
若手研究
炎症性腸疾患(IBD)患者は本邦および世界的にも増加傾向にあるが、その病因については未だに不明であり根本治療も確立していない。腸管における免疫寛容機構の破綻が疾患発症の原因と考えられており、免疫寛容を制御する細胞分画を同定することで新規治療の創出につながる可能性がある。しかし、ヒト腸管における免疫細胞および免疫寛容制御システムについての解析は発展途上である。本研究では、3型自然リンパ球(ILC3)に着目し、IBDの病因および病態に関与する免疫寛容の破綻機構を明らかにすることを目的とする。
本研究は自然リンパ球(ILC)に着目し、IBD病態における免疫機構の解明を目的とした。大腸粘膜にどのようなILCが存在するのか解析した。flow cytometry解析したところ、ILC1とILC3が存在し、いずれもリンパ球の形態であった。次にIBDである潰瘍性大腸炎(UC)検体を用いて解析を行った。UC非炎症部と正常大腸では、ILC分布に差はないが、炎症部ではILC1が増加、ILC3が減少していた。ILC3はRORCやIL23Rを高発現し、ILC3中NKp44+分画はIL22を発現していた。炎症部のNKp44- ILC3は、ILC1とILC3の両者の特徴を有する遺伝子発現を示した。
IBD患者は本邦だけでなく世界的にも増加傾向にあるが、病因については未だに不明である。IBD病因と考えられる免疫寛容の破綻およびこれに関与する免疫細胞の解析について、これまではマウスレベルでは試みられてきたが、ヒト腸管から生きた免疫細胞を採取し、詳細に解析された報告はほとんどなかった。本研究では、ヒト腸管組織を使用し、これまで明らかになっていなかったIBDにおけるILC分画の分布およびその特徴を明らかにした。これらの結果によりIBDの病因・病態の解明および新規治療の開発につながることが期待できる。
すべて 2023 2022 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Front Immunol.
巻: 14 ページ: 1138971-1138971
10.3389/fimmu.2023.1138971
Annals of Gastroenterological Surgery
巻: 13 号: 2 ページ: 249-255
10.1002/ags3.12512
Cancer Immunology Research
巻: 8 ページ: 724-731