研究課題/領域番号 |
20K17622
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寅田 信博 九州大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00398075)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 遺伝子発現マッピング / メタボロミクスマッピング |
研究開始時の研究の概要 |
手術切除標本を用いた研究が行われているが、組織微小環境での位置情報は失われていることが多い。がん細胞だけでなく、免疫細胞やその他の間質細胞の不均一性が、腫瘍の特性や治療抵抗性に関連することが注目されており、局在データの必要性が高まっている。本研究では、RNAをスライドガラス上で捕捉し、組織中の位置情報を持った遺伝子発現解析を実現する10XGENOMICS社のSpatial Transcriptomics技術を用いて、遺伝子発現マッピングを行い、メタボロミクスマッピングと組み合わせることによって、多面的な膵癌組織微小環境の解明し、その制御による新規治療法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
組織微小環境の解明のため、コンポーネントの1つである癌関連線維芽細胞量と膵癌分化度の関連を調べたところ、ヒト膵癌オルガノイドを用いた実験で、腫瘍分化度が高いほど周囲のCAFが多いことを確認し、微小環境因子を介した癌の増殖に寄与している可能性を示唆する結果を得た。網羅的遺伝子発現解析で、分化度が高いほどmevalonate経路を中心としたcholesterol synthesis関連遺伝子の発現が増加していた。 分化度が異なる膵癌オルガノイドにHMG-CoA還元酵素阻害剤であるsimvastatinを投与すると, 高分化膵癌オルガノイドにおいて低分化より有意に増殖能が抑制することを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌は癌の中でもっとも予後不良な癌の一つで、その特徴の一つにdesmoplasiaと呼ばれる豊富な間質増生があり、治療抵抗性や、薬剤送達率低下への関与が明らかにされている。本研究成果は、細胞の相互作用を再現したヒト膵癌オルガノイドを用い、腫瘍微小環境における、腫瘍分化度と癌間質量の関連性を明らかにするだけでなく、cholesterol synthesis関連遺伝子の発現が増加していることを明らかにし、治療ターゲットとしての可能性を見出した点で学術的、社会的意義が高い。
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