研究課題/領域番号 |
20K17636
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
原 裕太郎 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (60836732)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 膵星細胞 / 浸潤性膵管癌 / 2型糖尿病 / 癌関連線維芽細胞 / 膵導管癌 / 糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
膵導管癌 (PDC)は予後不良な疾患であり、その機序に間質の線維化がある。2型糖尿病 (T2DM) はPDCの予後不良因子であるが、機序は不明である。高血糖に起因する終末糖化産物、及びその受容体(RAGE)を介したシグナルは、T2DM合併症の発症機序の1つであり、PDCの増殖、進展に関与することが知られている。PDCと膵星細胞(PSC)がクロストークを引き起こし、PDCの悪性度が増強するが、RAGEシグナルを介した経路は明らかになっていない。本研究は、T2DMにおけるRAGEを介したPDCおよびPSCへの影響を解明し、PDCに対するRAGEシグナルを標的とした新規治療法の確立を目的とする。
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研究実績の概要 |
膵導管癌 (PDC)は悪性度が非常に高く、予後不良な疾患であり、その機序の1つに間質の著明な線維化がある。2型糖尿病 (T2DM) はPDCの予後不良因子であるが、詳細な機序は不明である。本研究は、T2DMにおけるPDCの増殖と膵星細胞(PSC)とのクロストークを解明し、PDCに対する新規治療法の確立を目的とする。2021年度の研究として、ヒトPDC細胞株に与えるAGEの影響を検討した。ヒトPDC細胞株にAGEを投与し、EMTの程度を評価したが、AGE投与群と非投与群で有意差は見られなかった。AGE刺激PDC細胞株とAGE非刺激PDC細胞株によるPSCに対する影響をα-SMA、desmin、メフリン等の細胞免疫染色で検討した。その結果、AGE刺激PDC細胞株とAGE非刺激PDC細胞株による差異は認めなかったが、膵星細胞に複数の細胞集団が存在することが示唆された。さらに、AGE刺激による膵星細胞の活性化が起きることが確認された。2型糖尿病状態は癌細胞そのものより膵星細胞に与える影響が大きいと判断し、膵星細胞に与える影響を中心に解析を行った。糖尿病状態による膵星細胞の細胞集団の変化をシングルセル解析およびBD FACSAriaII Cell Sorterにより解析した。糖尿病状態ではPSCの活性化が引き起こされており、癌関連線維芽細胞様の形質を有するPSCの割合が増えることが明らかとなった。2型糖尿病状態で変化する細胞集団をセルソーティングし、ヒト膵癌細胞株と共にヌードマウスに皮下移植したところ癌の増殖能が増加することが明らかとなった。GO解析により、2型糖尿病状態で変化する細胞集団は腫瘍内のリンパ球浸潤を抑制することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2型糖尿病が与える影響を癌細胞の観点を中心に行っていたが、癌細胞より膵星細胞に与える影響が大きいことが明らかとなった。膵星細胞への影響を中心に解析する方向性に変化したが、シングルセル解析をベースとした手法で膵星細胞の集団構成があきらかとなり、構成細胞集団をFACSでセルソーティングすることが可能となった。さらに、ソーティングした集団をヌードマウスに皮下移植し評価することが可能となり、2型糖尿病状態で変化する細胞集団が腫瘍に与える影響の解析ができたため上記のように評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2型糖尿病状態で変化する細胞集団が腫瘍に与える影響をさらに詳細に解析する。マウスの個体で起きている事象がヒトサンプルで同様の結果が得られるか解析する。以上の結果をまとめて、論文作成、投稿を行う。
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