研究課題
若手研究
腹膜偽粘液腫は、腫瘍細胞から分泌されるゼラチン様物質が腹腔内に貯留し、腹部膨満や腹痛などの様々な症状を呈する。100万人に1-2人の稀な疾患であり、5年生存率が30%~50%と報告されているが、患者の大多数は再発を繰り返し、複数回の手術の実施など、患者のQOLは必ずしも高くない。そこで本申請課題では、腹膜偽粘液腫の発生・進展に関わる遺伝子変化を明らかにし、その治療標的遺伝候補を同定する。
虫垂や卵巣を原発とする腫瘍が進展し、腹膜播種をきたす腹膜偽粘液腫(Pseudomyxoma peritonei:PMP)は、腫瘍細胞から分泌されるゼラチン様物質が腹腔内に貯留し、腹部膨満や腹痛などの様々な症状を呈する。1患者の大多数は再発を繰り返し、再発に対する複数回の手術の実施など、患者のQOLは必ずしも高くない。今回我々は腫瘍検体15検体、非癌部粘膜8検体を用い、DNAメチル化網羅的解析を行った。その結果、PMPは少なくとも2群に分類されることを証明した。
PMPは稀な腫瘍であるが、比較的早期に腫瘍が進展し、広範な腹膜転移をきたす。膵臓の乳管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)も、高頻度にKRASおよびGNASの変異が認められ、PMPと共通した機序で腫瘍が発生または進展している可能性が高い。このことは、PMPの発がんメカニズム解明と、新たなバイオマーカー、治療標的分子の探索により、がんの転移の抑制や、IPMNや腹膜播種などの治療に役立つ可能性があることを意味している。
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