研究課題/領域番号 |
20K17657
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中山 宏道 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80866773)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 血管新生 / 膵癌 / 血行性転移 / ADM / M2 / マクロファージ / MMP9 / IL12A / CD31 / M2マクロファージ / sprouting angiogenesis / vasculogenesis / 同種骨髄移植KPCマウス / VEGFR / 微小環境 / 転移臓器特異性 |
研究開始時の研究の概要 |
様々な癌種において、血行性転移で生じる肺転移と肝転移とでは生物学的悪性度が違うと報告されている。血行性転移には、血管新生が深く関わっており、膵癌でもsprouting angiogenesisと血管内皮前駆細胞由来のvasculogenesisが報告されている。しかし、血管新生のタイプごとの血行性転移や予後への影響はいまだ不明である。膵癌において、血管新生のheterogeneityに着目し、血行性転移の臓器特異性の機序や予後との関連を検討したものはなく、学術的にも独自性が高い。また、膵癌術後初発再発が肝転移か肺転移のいずれかで予後の差異を生じる分子生物学的な違いについて検討したものはなく、新規性の高い研究である。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、膵癌の主要な死因である血行性転移の機序を解明することである。当初は、血管新生のタイプを比較、検討する予定であったが、免疫染色によりマウス由来膵癌組織を観察したところ、CD31陽性細胞の分布がAcinar-to-ductal metaplasia 様の形態を示す部分に偏っていることを発見した。ヒト膵癌切除組織を用いた免疫染色による解析では、ADM like lesionでは微小血管密度が高く、CD68、CD163、IL12Aの発現が有意に高かった。またADM like lesionでは、M2マクロファージが産生するMMP9を介して血管新生が促進されている可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌の遠隔転移を制御する新規治療法の開発は膵癌患者の予後改善に直接的に寄与し、社会的要請度・貢献度・緊急性が高い。 本研究では、膵癌組織中のADM like lesionにおいて血管新生が促進しており、その要因として、IL12Aによって動員された骨髄由来マクロファージが腫瘍内で免疫抑制性機能を持つM2マクロファージへと変化し、マクロファージが産生するMMP9によって血管新生が促進している可能性が示された。 膵癌における主要な死因の一つである血行性転移のメカニズムにおける重要な知見であり、血管新生を標的とした膵癌患者の予後を改善する新規治療の開発に繋がると考えられる。
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