研究実績の概要 |
大腸癌手術検体から12例のがん関連線維芽細胞(CAF)の培養に成功した。この12例に対し、抗がん剤(フルオロウラシルとシスプラチン)を培養したCAFへ投与し、抗がん剤投与に対する6つのCAFのバイオマーカーのmRNA発現(IL-6・CXCL8・CXCL12・VEGFA・PD-1・PDGFA・TGF-Beta)を確認した。IL-6,CXCL-8,VEGFA,TGF-Betaがコントロール群と比較して、フルオロウラシル投与群のmRNA発現が有意に変化していた。 抗がん剤に対する大腸癌CAFのこれらのmRNA発現がCAFに特異的な反応であることを確認するため、6種類の大腸癌培養細胞(自家培養株,CACO2,COLO320,CW2,DLD1,WDr)に対して、フルオロウラシルを投与3日後のIL-6・CXCL-8・CXCL-12・TGF-BetaのmRNA発現をリアルタイムPCRを用いて確認した。CXCL-8,VEGFA,TGF-Betaがコントロール群と比較して、フルオロウラシル投与群のmRNA発現が有意に変化していた。 上記の結果から、IL-6がCAFにとって特異的な抗がん剤に対するバイオマーカーである可能性が示唆された。一方で、CXCL-8・VEGFA・TGF-Betaに関しては、CAFは癌細胞と同様のmRNA発現を行っており、CAFが癌細胞の遺伝子発現を増幅している可能性も示唆された。
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