研究課題
若手研究
浸潤性膵管癌(以下膵癌)は他の癌と比較して悪性度が高く、極端に予後不良な「21世紀に残された消化器癌」と言われ、その対策は急務である。膵癌細胞の分子的背景は不明な点が多く、その特性を解析して非侵襲的早期診断や治療効果の向上に繋げる技術開発が求められている。
膵癌は悪性度が高い上に分子的背景は不明な点が多く、その対策は急務である。我々は約90症例の膵癌患者の手術検体組織に加えて、手術前後に末梢血検体を採取し、日本発の技術である包括的高感度転写産物プロファイリング(HiCEP)法を活用し、かつ次世代シークエンシング(NGS)を組み合わせた新規の高感度解析法により、膵癌に特異的な分子を探索した。癌組織において特異的に発現量が増加している新規遺伝子を同定し、臨床データとの比較を行うと共に、他症例検体に対しても再現することができた。また膵癌2症例に対し空間トランスクリプトーム解析を実施し、NGS-HiCEP法で得られたデータベースと照合解析を行っている。
実臨床において膵癌の早期発見や予後予測に関する有効な診断マーカーは確立していない。本研究において、未知遺伝子を含むmRNAに対して高感度かつ網羅的、定量的な発現解析を行うことが可能であり、再現性を確認することができた。NGS-HiCEP法により網羅的な発現データベースを作成することが可能となり、他癌腫への応用や、さらなる研究発展により未だ確立されていない早期診断技術、予後マーカー等の臨床応用に期待できる。
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