研究課題/領域番号 |
20K17709
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
乾 友彦 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70816503)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | Apple watch / 心房細動 / 機械学習 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
pAFは重篤な血栓塞栓症を発症する危険因子である。昨今、脈拍数を始めとする生体情報を簡便に計測可能なスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスが一般に普及しつつある。同装置を利用した診断アルゴリズムにより無症候性pAFを発見し、適切な治療介入を行うことができたなら、pAFから引き起こされる心原性塞栓症を予防できる可能性がある。データ解析に機械学習を導入することで、膨大なデータから複雑なパターンを抽出し、精度の高い個別予測を行うことが可能となる。本研究では心臓手術術後患者においてスマートウォッチからデータを収集し、機械学習を適用することで、pAF発生を高精度に検出するアルゴリズムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究はApple watchなどのスマートウォッチに搭載されたPPG技術を使用して計測された脈拍データに対し、機械学習を適用することで、発作性心房細動発生(pAF)を高精度に即座に検出、診断するアルゴリズムを開発することを目的としている。複数のパラメータに基づく予測において、従来の統計的方法では多重共線性や過学習などの問題が発生し、予測精度が低下することが知られているため、Gradient Boosting TreeやRandom Forestといった機械学習手法を用いることで、多数のパラメータから高精度な予測を行う。機械学習による診断性能は学習量によって向上することが知られており多くのデータが必要となるが、まずは2020年7月から2021年3月31日までに心臓手術症例80例のデータを取得した。この内10~15例のデータを利用して診断アルゴリズムの基盤を作成し、残りの症例データで検証も行うこととした。千葉大学医学部附属病院倫理委員会の承認を得て2021年3月末の時点までの80症例全ての症例データは千葉大学病院データセンターに登録した。データを機械学習モデルに適応できるパラメーターに変換して千葉大学医学研究院附属治療学人工知能研究センターの協力の下でデータ解析を実施した。発作性心房細動の診断アルゴリズムを開発し、Diagnosis of Atrial Fibrillation Using Machine Learning With Wearable Devices After Cardiac Surgery: Algorithm Development Studyで発表した。感度 0.909 および特異度 0.838という診断精度となった。今後はさらにテストデータの収集とアルゴリズムの改良を目的として臨床試験を実施予定となっている。またその際、今回の診断アルゴリズムのアプリケーションを作成しており、Apple watchに搭載することで即時診断を可能にすることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
診断アルゴリズムの開発はでき、発表できたが、スマートウォッチのその他の機能として、加速度センサーデータや、血中酸素飽和度のデータ取得する計画であったが、加速度測定アプリケーションを作成したもののapple watch内へのデータ保持に問題があり、アプリケーションの改良中である、また今回作成した心房細動診断アルゴリズムを搭載したアプリケーションの開発が、Apple watchにアプリケーションをインストールすることが難しく、難渋しており開発が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
診断アルゴリズム搭載したアプリケーションを作成すること、さらに機械学習による診断性能は学習量によって向上するため、今後もさらなるデータ収集を継続していく。追加データの取得のため臨床試験を予定している。 可能であれば入院患者での検証を行なった後に、外来通院患者においても検証対象を拡大していく。機械学習によって得られた学習モデルをさらに分析していくことで、pAF発生時に発生する心拍変動のパターンの発見や、pAF発生の事前予測にも繋げられると期待される。 新たにApple Watchシリーズ6以降にSpO2データ取得も可能となったため、追加してデータ収集を行い不整脈発症との関連性を分析していく。
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