研究課題/領域番号 |
20K17742
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
江口 隆 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (50447744)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 肺癌 / 経気腔進展 / 腫瘍免疫 / 微小環境 / STAS / 転移 / TMA / 腫瘍微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、早期肺癌に対する肺切除術が増加しているが、術後に局所再発や遠隔転移を起こす症例も未だに多い。肺癌細胞が気道を経由して広がる経気腔進展(spread through air spaces, STAS)が最近注目され、肺癌切除後の局所再発・遠隔転移への関与が報告されている。しかし、STAS形成の機序に関しては未だ不明な点が多い。 本研究では、癌転移における"seed and soil"説に基づき、STAS部における癌細胞側(seed)の因子としての上皮間葉転換や、それを受け入れる微小環境(soil)としての免疫細胞浸潤を検討し、STAS形成における分子生物学的・免疫学的機序を解明する。
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研究成果の概要 |
【STASと免疫細胞分布についての研究】301例の原発性肺癌の病理所見からTMAを作成した。TMAを用いて、免疫細胞の密度や腫瘍浸潤を評価し、抗腫瘍免疫細胞が腫瘍内に移行できない症例が予後不良であること、STAS陽性肺癌では腫瘍辺縁部のFoxP3陽性T細胞が予後規定因子であることを発見した。これらの結果は2022年8月の世界肺癌学会で発表し、Heliyonに論文投稿し再投稿中である。【凍結標本によるSTAS評価】術中にSTASを診断するため、前向き研究にて114例の凍結切片で感度・特異度を評価した。研究結果は2022年8月の世界肺癌学会で発表し、JTCVS Techniqueに掲載された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、肺癌におけるSTASと免疫細胞分布の関係を明らかにし、STAS陽性症例の予後不良に関与する免疫細胞の動態を解明した。特に腫瘍内への抗腫瘍免疫脂肪の浸潤障害と、腫瘍辺縁部における腫瘍促進免疫細胞とSTASの共存が重要な予後規定因子であることを発見した。また、術中迅速診断によるSTAS検出の実現可能性を確認した。 本研究の成果は、STASの術中診断精度を向上させ、患者の予後を予測し、治療方法を選択するための新たなバイオマーカーの開発に寄与すると考える。これにより個別化治療の向上や術後管理の最適化、ひいては患者の生存率向上と医療資源の効率的活用につながる。
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