研究課題/領域番号 |
20K17753
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
藤野 孝介 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10837339)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | PDX / 小細胞肺癌 / 肺癌 / 癌治療 / PDXモデル / 薬剤耐性化 / PDXマウスモデル / 神経内分泌分化 / Notchシグナル / INSM1 / 化学療法耐性化メカニズム / 化学療法耐性化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では患者病態をより正確に反映する患者アバターを作成し小細胞肺癌の薬剤耐性化メカニズムの研究を進める。患者アバターはSCLC患者から切除摘出した肺癌から腫瘍細胞を免疫不全マウスに移植して作成するPDX技術を使って作られる。本研究ではそれらの患者アバターに薬物療法を行うことで作成される治療耐性化アバターを解析する。一人の患者から多数のアバターを作成することが可能なため、多くの薬剤に対する耐性アバターを作成することが可能となる。治療前後の変化を組織学的・分子遺伝学的に解析し、さらに臨床患者の治療・遺伝学的情報と比較解析することで、ほぼ全てのSCLC患者が来す薬剤耐性化メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
小細胞肺癌、混合型小細胞肺癌の手術検体及び生検検体より13系統のPDX樹立に成功し解析に十分なサンプルの取得およびバイオバンク作成に成功した。従来報告されている樹立率より非常にたかく90%を超えるPDX樹立に成功した。また人からマウスの次に、マウスからマウス間での継代を行うにつれて腫瘍の組織学的、分子遺伝学的特徴が変化することを確認した。組織学的な変化及びメジャーな遺伝子情報は3継代移行も維持されていくが、継代とともにマイナー遺伝子変異が出現。また、腫瘍によっては3継代以上行うことが出来ない系統も認めた。これまでの実験結果から検討するにPDX腫瘍を使用した実験においては遺伝子学的検討を主に行う実験系では継代3世代以内のものを使用するべきであると結論付けた。ただし、組織学的、メジャー遺伝子変異情報は多継代でも維持されており、薬物感受性においても3継代以内のものと5継代、10継代のものと変化はなく薬剤感受性試験においてはPDX多継代のものでも十分に実験系として使用できると結論付けた。現在、5系統において化学療法を行わないNaive腫瘍と化学療法を行ったResitant腫瘍を作成したものを次世代シーケンサーに提出しRNAseqを行い薬剤耐性化における遺伝子発現解析を行っている。実験は全行程で終了し、現在、解析及び今年度の世界肺癌学会、および日本癌学会での発表に向けての解析のまとめおよび論文化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手術及び生検検体からの高確率でのPDX作成のプロトコールの確立に成功。また、マウスからマウスに移植継代することで患者1検体から50アバター以上を作成することにも成功した。化学療法を行い薬剤感受性及び効果判定の実験系の確立にも成功した。 最終年度の実験計画であった薬剤治療前および耐性化後(薬剤投与後)のサンプルの作成が終了し、次世代シーケンサーを用いた、薬剤耐性化における組織学的、分子遺伝学的変化についての実験に着手。現在、解析待ち。全行程での実験は終了し現在は結果の解析及びまとめ、今年度の学会及び論文公表についての準備を行っている
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今後の研究の推進方策 |
現在、最終工程の実験結果の解析を行っている状況である。薬剤投与を行わない群、薬剤投与を行い耐性化を来した群を使用した遺伝子発現解析を行っているが、腫瘍内、患者内においてのheterogenityについて実験系として本研究で明らかにできない可能性があり、今後、single cell RNA seq等を使用した各個体の腫瘍内での細胞レベルでの変化の解析を行う必要があるかもしれない。その場合は、解析予算が必要となり次年度新規申請の必要性が生じる。
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