研究課題/領域番号 |
20K17754
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55040:呼吸器外科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
松村 勇輝 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30747225)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 肺癌 / がん免疫療法 / 腫瘍浸潤リンパ球 / 患者由来腫瘍組織移植モデル (PDX) / 三次リンパ様構造 (TLS) / 腫瘍浸潤リンパ球 (TIL) / 患者由来腫瘍組織移植モデル / PDXモデル / 免疫チェックポイント阻害薬(ICI) / 腫瘍浸潤リンパ球(TIL) |
研究開始時の研究の概要 |
手術により摘出された肺がん腫瘍組織を腫瘍細胞と腫瘍浸潤リンパ球(TIL)分離する.TILはその表面マーカーをFACSで亜分類して役割を解析する.in vitro下で腫瘍細胞,TIL,ICIを共に培養し腫瘍細胞数の減少率,IFNγ産生能等を解析する.腫瘍細胞は培養液下で増殖させた後,免疫不全マウス (NSGマウス)の皮下に移植して患者腫瘍組織移植(PDX)モデルを確立する.同モデルにTILと免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を局注して腫瘍縮小効果を解析することで,個々の患者におけるICIの効果予測モデルを開発することを目指す.
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研究実績の概要 |
免疫療法,特に免疫チェックポイント阻害薬(以下ICI)の登場によって肺がん治療はパラダイムシフトとも言える大きな転換期を迎えた.しかしながらその恩恵を受けられるのは全患者の約20%程度と低く,その原因として同治療の効果予測のためのバイオマーカーが確立していないことが挙げられる.そこで我々は以前から解析してきた腫瘍組織内に浸潤したリンパ球(以下TIL)と患者腫瘍組織移植(以下PDX)モデルを組み合わせ, 患者由来の腫瘍細胞とTILからPDXモデルを確立することを目指している.本研究の目的は同モデル上でのICIによる腫瘍縮小効果を解析し, 個々の患者におけるICIの効果予測モデルを開発することである. 令和2年4月から令和4年3月までに計115例の肺癌患者の腫瘍組織と末梢血を採取した.MACSTM systemにて腫瘍組織は腫瘍細胞とTILに, 末梢血は末梢血単核球 (PBMC)にそれぞれ分離した.in vivoであるPDXモデル開発の前段階としてin vitroにおいて分離した腫瘍細胞とTILを用いてICIと共培養し,IFNγ産生能をELIspot assayで解析した.その結果個々の患者によってICIへの反応が異なることが確認された.今後本結果と実際にICIを投与した患者での反応の比較を行う予定である. 一方で近年がん免疫療法の新規バイオマーカーとして報告が増えている三次リンパ様構造 (TLS)の解析も行っている.本学において過去に非小細胞肺癌に対してがん免疫療法を受けた非小細胞肺癌患者 55例を解析した結果,長期抗腫瘍効果を得ている患者はれ以外の患者と比べて病理組織中のCD8陽性TILやTLSが有意に多いことが明らかとなった.現在同解析結果を論文投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年4月から令和4年3月までに計115例の肺癌患者の腫瘍組織と末梢血を採取した.MACSTM systemにて腫瘍組織は腫瘍細胞とTILに, 末梢血は末梢血単核球 (PBMC)にそれぞれ分離した.in vivoでのICI投与の前段階としてin vitroにおいて腫瘍細胞とTIL, ICIを共培養し, TILからのIFNγ産生能をELIspot assayで解析した.その結果個々の患者によってICIへの反応が異なることが確認された.今後本結果と実際にICIを投与した患者での反応の比較を行う予定である.本研究の主目的であるPDXモデルの開発に関してはMACSTM systemで分離した腫瘍組織がRMPI培地で増殖しなかったため,条件設定を変えて試行中である. 一方で近年がん免疫療法の新規バイオマーカーとして報告が増えている三次リンパ様構造 (TLS)も切除検体の病理組織を用いて評価した.本学において過去に非小細胞肺癌に対してがん免疫療法を受けた非小細胞肺癌患者 55例を解析した結果,長期抗腫瘍効果を得ている患者はそれ以外の患者と比べて病理組織中のCD8陽性TILやTLSが有意に多いことが明らかとなった.現在同解析結果を論文投稿中である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は病理組織中のTILとTLSの解析をさらに進める計画である.具体的には免疫組織染色を用いてTILとTLS内リンパ球のサブセット解析を予定している.ELIspot assayについてはIFNγの発現量とTILのリンパ球サブセット解析やがん免疫療法を受けた患者の抗腫瘍効果との比較, 現行のがん免疫療法のバイオマーカーであるPD-L1発現との比較を行っていく予定である.PDXモデルはについては上述した様にMACSTM systemで分離した腫瘍組織がRMPI培地で増殖しなかったため,条件設定を変えて試行中である.
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