配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究実績の概要 |
特定の脳領域の体積とQOLや疼痛との関連の報告は散見される.我々は2020年第120回日本外科学会で肺癌手術患者の脳体積計測の実際と評価法を発表したがそこからさらに症例を集積した.目的:脳扁桃体の大きさと術後QOLや疼痛の関連を検討する.対象:当院で肺癌に対して手術した144例のうち,術前脳MRI画像を基に正常に扁桃体体積を解析できた19例を対象とした.方法:昭和大学生理学講座の先行研究で得た年齢別予測体積を基に,予測値を上回る5例(以下B群)と下方14例(以下S群)の2群に分けた.画像解析はFreeSurferを用いてSBM(surface-based morphometry)にて行った.QOLはEQ-5D-5L法で5項目(①可動性②セルフケア③通常の活動④痛み/不快感⑤不安/抑うつ),疼痛はNRSで評価した.各脳体積の大小をグループ化変数としてt検定を行なった. 結果:1. 症例の内訳:男13例,女6例,年齢43~80歳(平均68.6).術式は区切以上14例,部切5例で,アプローチは胸腔鏡下手術14例(完全鏡視下4例),開胸5例. 2. 扁桃体体積:右1537.8±231.9mm3,左1326±22.8mm3で有意な左右差は認めなかった.B群の体積は右1712.6±136.3mm3,左1535.4±78.6mm3,S群は右1457.1±224.9mm3,左1251.3±209.6mm3であった. 3. 疼痛とQOL:NRSは安静時右B群1.7±0.5,S群2.5±2.8,左B群1.4±0.6,S群2.6±2.7,労作時右B群3.5±2.2,S群4.4±2.3,左B群 3.6±2.1,S群4.3±2.3といずれも2群で有意差を認めなかった. QOLは,左右とも2群で有意な差はみられなかったが,⑤不安/抑うつに特化すると左扁桃体においてB群0.00±0.00,S群-0.044±0.041と有意差を認めた(両側p=0.03).結語:解析症例が少なく更なる検討が必要であるが,扁桃体の体積から術後の不安指数を予測できる可能性が示唆された.
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