研究課題
若手研究
本研究では、EGFR・HER2・MET・ALK・ROS1・BRAFなど肺がんでその活性化が報告されている臨床的意義が不明な遺伝子変異(VUS)に着目し、レトロウイルスによりVUSを導入した人工的な腫瘍細胞モデルを用いてVUS病原性と標的治療薬のスクリーニングを行って臨床的意義を明らかにする。VUSが主要な遺伝子変異と同時に存在すること(Compound mutation)も多いため、VUSと主要な遺伝子変異を同時に導入して、その意義を検討する。本研究は同一遺伝子異常を有する臓器を超えた様々ながん腫に適応できる可能性があり、肺がん以外のがん腫に対しても治療成績の改善に寄与することが期待される。
LUX-Lung 8 試験の二次解析で同定された、すべての臨床的意義が不明なHER2、HER4遺伝子変異について、IL-3依存性細胞株である、マウスpro-B細胞株に導入し、人工的な腫瘍細胞モデルを作成し、腫瘍原性を検討した。その結果、HER2 E395K、G815R、R929W変異に腫瘍原性があることを確認し、これらの遺伝子変異に関しては、HER2阻害効果のあるTKIが有効であることを明らかにし、その結果をLung Cancer 誌に報告した。また、EGFRエクソン20挿入変異に対してFDAで新規に承認されたmobocertinibの二次耐性機序も、同様の腫瘍細胞モデルを用いて探索した。
近年、次世代シーケンサを用いた遺伝子解析が広く用いられるようになり、既知の遺伝子異常だけでなく、臨床的意義が不明な遺伝子変異(VUS)も多数同定され、これらVUSの機能解析が求められている。本研究では、LUX-Lung 8 試験の二次解析で同定されたHER2、HER4のVUSの機能解析を、IL-3依存性細胞株である、マウスpro-B細胞株(Ba/F3細胞)に導入し、人工的な腫瘍細胞モデルを作成し評価した。その結果、3つのHER2遺伝子変異に対してHER2阻害効果のあるTKIが有効であることを明らかにし、これらの遺伝子変異を有する患者に対する治療の可能性を示した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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