研究課題/領域番号 |
20K17777
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大橋 宣子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70706712)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 脊髄Ⅹ層 / 慢性疼痛 / 炎症性疼痛 / ノルアドレナリン / 免疫組織学実験 / 電気生理学実験 / パッチクランプ記録 / 疼痛 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性疼痛の発症には痛覚伝導路を有する脊髄ⅠからⅥ層の後角ニューロンの可塑性変化が関与すると考えられている。しかし脊髄Ⅹ層にもGABA、グリシンなどの痛覚伝達に関与する神経伝達物質が多く含まれており、また下行性抑制系ニューロンがⅩ層へ投射することが明らかになった。つまり脊髄Ⅹ層が慢性疼痛の発症に関与する可能性が示唆されるが、慢性疼痛時のⅩ層における変化をシナプスレベルで検討した報告はない。本研究の目的は慢性疼痛モデルラットを用いた免疫組織学、電気生理学実験により、Ⅹ層ニューロンに対する痛覚伝達に関与する神経伝達物質の反応を多角的に検討することで、慢性疼痛発症の新しい機序を発見することである。
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研究成果の概要 |
本研究では慢性疼痛で生じるシナプス可塑性変化が脊髄Ⅹ層においても生じているか、炎症性疼痛モデルを用い脊髄Ⅹ層ニューロンにおけるノルアドレナリン (NA)の反応を検討した。 痛み刺激により発現するリン酸化extracellular signal-regulated kinaseの増強をみとめ、in vivo脊髄細胞外記録による活動電位の発生頻度が増加したが、NAによりそれらの反応は抑制された。また脊髄後角におけるin vitroパッチクランプ記録では、NAはⅩ層の抑制性ニューロンシナプス前終末のα1A 受容体、およびシナプス後膜のα2受容体を活性化することで、炎症性疼痛に対し鎮痛効果を発揮した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では慢性疼痛発症過程で生じるシナプス可塑性変化が脊髄Ⅹ層においても生じているか、Ⅹ層ニューロンに対する痛覚伝達に関与する神経伝達物質であるNAの反応を検討した。その結果、慢性疼痛として炎症性疼痛モデルラットを用いNAは脊髄X層の抑制性ニューロンに作用することで炎症性疼痛に対し鎮痛効果を発揮していることが示された。つまり本研究は慢性疼痛時の脊髄Ⅹ層におけるNAの変化をシナプスレベルで検討した世界で最初の研究であるといえる。また本研究はin vivo脊髄細胞外記録およびin vitro脊髄パッチクランプ記録を用いたが、この手法が行える施設は世界的にも非常に数が少なく意義が高い研究といえる。
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