研究課題/領域番号 |
20K17821
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
加藤 純悟 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40465018)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 痛み / 慢性痛 / 神経成長因子 / 神経再生 / p75 / 鎮痛薬 / Fab / 先天性無痛無汗症 / 慢性疼痛 |
研究開始時の研究の概要 |
先天性無痛無汗症V型(HSAN-V)という希な病気は骨・関節の痛みが欠落する疾患である。本研究では、我々が作成したHSAN-Vのモデルとなるマウスを活用し、新たな鎮痛薬開発のためのシグナリングを同定する。また、このモデルマウスから抽出された神経成長因子(NGF)は、痛みを伴わず神経再生作用を発揮することが期待される。この無痛型NGFを用いて神経再生治療への可能性を探索する。
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研究成果の概要 |
我々はより安全な鎮痛を目指して、神経成長因子(NGF)による痛み特異的シグナリングの特定を進めてきた。NGF-p75結合を選択的に阻害する抗NGF抗体NGF30をもとに精製したNGF30-F(ab’)2は、PC 12細胞においてNGF受容体TrkAのinternalizationを促進することが示された。またマウス足掌へのNGF投与による疼痛誘発モデルではNGF30-F(ab’)2の投与が有意に機械的過敏性亢進を抑制し、投与部位での異常な交感神経発芽を抑制することも示された。以上より、NGF30-F(ab’)2が 有効な鎮痛効果を示すとともに痛みを伴わない神経再生への活路が見出された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界的なオピオイドパンデミックなどの諸問題で新規鎮痛薬の開発の必要性が叫ばれる中、神経成長因子(nerve growth factor: NGF)は古くから鎮痛標的として注目されてきた。しかしながら、大きな脚光を浴びた抗NGF抗体治療は、感覚障害や骨破壊の促進などの重篤な副作用の出現により行き詰まりを見せている。これに対し本研究での知見は多彩なNGFの生理作用のなかでより痛みに特異的な経路の選択的阻害により、安全かつ有効な鎮痛薬の開発につながる知見となる。また、痛みを取り除くことでNGFの強力な神経再生作用を活かすことで、安全な神経再生治療への発展も期待できる。
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