研究課題/領域番号 |
20K17822
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
小林 賢礼 東京医科大学, 医学部, 助教 (80837724)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 敗血症関連脳症 / GSH / メタボローム解析 / 敗血症 / 英文投稿 / 論文掲載 / Cyclophilin D ノックアウトマウス / グルタチオン / 抗酸化作用 / Cyclophilin D |
研究開始時の研究の概要 |
SAEの実態とGSHの抗酸化作用をGSH/CypD/SIRT3情報伝達系の役割解明に着目し、その誘発機序をCypD KOマウスを用いて以下4点から解析を進める。①SAE発症による脳内Bcl-2 family発現、神経細胞死・アポトーシス形成における脳内CypD/SIRT3情報伝達系の果たす役割解明②SAE発症による脳内GSH/CypD/SIRT3情報伝達系のメタボローム解析③SAE発症によるROS産生とGSHの抗酸化作用の機序解明およびxCTの機能解析④SAE発症におけるミトコンドリア機能不全誘発とクライオ電子顕微鏡によるトモグラフィー法によってMPT構造解析を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では酸化ストレス耐性を持つであろうCypD KOマウスを用いてSAEモデルを作製することで、GSH/CypD/SIRT3情報伝達系という新たな切り口からGSHの抗酸化作用を分析するとともに、GSH生成のためのxCTの機能解析を進めることで、CypD ・MPTを介したミトコンドリア機能不全とSIRT3を介したミトコンドリア保護機構の役割解明に展開し、クライオ電子顕微鏡によるMPTporeの構造解析を行うことで未知のMPTporeの役割解明に繋げることから新規脳保護法確立を独創的かつ創造的に目指している。SAE発症によるROS産生とGSHの抗酸化作用の機序解明およびxCTの機能解析と併せてGSH/CypD/SIRT3情報伝達系の果たす役割の解明に対して、第10~16週令の雄性C57B6 wildマウスをwild群、CypD KOマウス群を用いてSAEモデルを作製し、モデル作製0, 6, 18時間(各時間・両群とも5匹のマウスを使用)後の脳サンプルを用いてWestern BlottingなどによるxCT蛋白の発現解析やメタボローム解析を行った。また、xCTの機能解析としては、システイン供給経路としてN-Acetyl-Lcysteine (NAC)投与群を作製しxCT蛋白の発現解析、CLP処置後の生存率と病理学的解析を行い、GSH/xCT/CypD情報伝達系の役割解明を目指した。メタボローム解析を主軸として、GSHの抗酸化作用およびCypD KOマウスとの関係性からミトコンドリア機能不全との関連が推察され、英文投稿および掲載達成でき、学位取得に帰結された。ただし、NAC投与群に関しては、敗血症モデル作製の不正確性か、あるいはNACの腹腔内投与の不正確性の影響か、予想され得る成果とは離れた結果となってしまい、因果関係を考察し研究継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、SAE発症によるROS産生とGSHの抗酸化作用の機序解明およびxCTの機能解析と併せてGSH/CypD/SIRT3情報伝達系の果たす役割の解明に対して、第10~16週令の雄性C57B6 wildマウスをwild群、CypD KOマウス群を用いてSAEモデルを作製し、モデル作製0, 6, 18時間(各時間・両群とも5匹のマウスを使用)後の脳サンプルを用いてWestern BlottingなどによるxCT蛋白の発現解析やメタボローム解析を行った。また、xCTの機能解析としては、システイン供給経路としてNAcetyl-L-cysteine (NAC)投与群を作製しxCT蛋白の発現解析、CLP処置後の生存率と病理学的解析を行い、GSH/xCT/CypD情報伝達系の役割解明を目指した。メタボローム解析を主軸として、GSHの抗酸化作用およびCypD KOマウスとの関係性からミトコンドリア機能不全との関連が推察され、英文投稿および学位取得を達成できた。 ただし、NAC投与群に関しては、敗血症モデル作製の不正確性か、あるいはNACの腹腔内投与の不正確性の影響か、予想され得る成果とは離れた結果となってしまい、考察を深めるとともに試行錯誤している。
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今後の研究の推進方策 |
システイン供給経路としてN-Acetyl-L-cysteine (NAC)投与群を作製しxCT蛋白の発現解析、CLP処置後の生存率と病理学的解析を行い、GSH/xCT/CypD情報伝達系の役割解明も目指したが、NAC投与群に関しては、敗血症モデル作製の不正確性か、あるいはNACの腹腔内投与の不正確性の影響か、予想され得る成果とは離れた結果となってしまい、因果関係を考察中であり今後の改善すべき課題とする。また、当初の目標通り、SAE発症におけるミトコンドリア機能不全誘発とCypD・MPTとSIRT3情報伝達系の連関解析およびトモグラフィー法によるタンパク質構造解析: 敗血症性脳症とMPTを介したミトコンドリア機能不全との連関解析のために、第10~16週令の雄性C57B6 wildマウスをwild群、CypD KO群を用いてSAEモデルを作製し、モデル作製0, 6, 18時間後(各時間・両群とも5匹のマウスを使用)に脳ミトコンドリアを抽出してCa2+overloadをin vitroにて作り出し、ミトコンドリアの膨化(swelling)を計測、解析比較する。マウス大脳皮質からParcol法でミトコンドリア分画を抽出し蛋白定量後、25μg/mlのミトコンドリアをKCl bufferに加えてCaCl2(0-10μmol/mgprotein)を加えて520nmでlight scatteringを行いMPTに伴うミトコンドリアの膨化率を測定しSAEを介したMPTに伴うミトコンドリア機能不全におけるCypD・MPTとSIRT3情報伝達系の連関を解析する。さらに、swellingのタイミングをモデル作製からの経過時間によってグループ分けし、各段階での検体をトモグラフィー法によるタンパク質構造解析することにより、これまで未知であったMPTのメガチャネルを視覚的に捉えることも目指す。
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