研究課題/領域番号 |
20K17831
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 玲央 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10845267)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 術後せん妄 / pNF-H / 血清バイオマーカー / pNF‐H / バイオマーカー / せん妄重症度 |
研究開始時の研究の概要 |
術後せん妄について神経軸索傷害マーカー(pNF-H)を主軸にした血液学的診断法(感度・特異度)と重症度の定量的評価法を開発する。また血清中のpNF-H値が術後認知機能との関連も検討する。さらにpNF-Hに加えて炎症、血液-脳関門(血管内皮)傷害、認知症と関連が深いアポリポ蛋白質との相互作用の観点から術後せん妄の病態を解明し、せん妄や術後認知機能障害の予防・治療法開発の創薬標的を探索する。
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研究成果の概要 |
術後せん妄においてpNF-H測定を症例を限定し経時的に測定・比較することで、せん妄診断への応用の可能性や臨床像との対応付けを明らかにした。血液脳関門における炎症細胞の中枢神経移行を規定する血管内皮接着因子が、中枢神経ダメージの発症と重症化に関連することを明らかし、また術前からpNF-Hが増加している患者では術後せん妄の発症odds比が高まり、年齢と術前pNF-Hを用いることで発症リスクを感度70%、特異度91%で予測できる診断マーカーとしての有用性も示した。したがって、pNF-Hは術後せん妄~高次脳機能障害の発生を予防するための術後急性期における中枢神経保護戦略のバイオマーカーになり得る。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
上述のように術後せん妄とpNF-Hの関連について明らかにしたことにより、精神症状を血液検査で診断することに繋がり国際的にみても画期的な成果といえる。本研究は高い新規性が提案でき、また神経障害を背景とする術後以外のせん妄・認知機能障害(がん化学療法や放射線療法によって発症し、遷延化することのあるがん治療後の認知機能障害)においてもpNF-H測定の有用性の可能性を示すものである。本研究を経て我々は臨床患者を対象として脳認知機能および神経傷害についてpNF-Hを用いた病態解明に継続的に取り組み、十分な研究体制を構築するに至っている。今後はこの体制を生かし、様々な方面への応用を期待できる。
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