研究課題/領域番号 |
20K17835
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中森 裕毅 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (80815994)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | プロテオミクス / 術後せん妄 / POD / 脳脊髄液 / SWATH / Myokine / FNDC5 / Irisin / せん妄 / プロテオーム |
研究開始時の研究の概要 |
術後せん妄(Postoperative Delirium, POD)は手術後に高率に発症し、死亡や認知機能低下との関連が知られているが、多くの研究努力にもかかわらず脳での病態機序は不明でありPOD予防に確立された薬物学的アプローチはない。このような重要な未決の問いに対し、本提案ではすでに中森が修得したヒト脳脊髄液(CSF)のプロテオーム解析技術を駆使し、貴重なヒトCSF時系列サンプルを用いてタンパク質総体の量的変動・構造変化を見出すことでPODの分子メカニズムに迫り、あらたな予防・治療方法のシーズを提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
TEVAR(thoracic endovascular aortic repair)の際に対麻痺目的で予防的に挿入した脳脊髄液ドレナージカテーテルから経時的に採取した脳脊髄液を用いてプロテオーム解析を行った。脳脊髄液中のタンパク濃度は血液と比較して200分の1ほどと薄いが、限外濾過とAlb・IgGを除去することにより、プロテオミクスに耐えうるサンプルを精製することに成功した。SWATH(Sequential window acquisition of all theoretical fragment ion spectra)によるプロテオーム解析を施行し、ヒトの脳脊髄液内の561種のタンパクを同定した。 また、時系列でのプロテオームの比較も試みたが、実際の手術前後の検体では、手術や全身麻酔の侵襲をはじめ脳脊髄液プロテオームに影響を与える因子が多く、機序の理解が困難である可能性があるので、全身麻酔に先行して同意を得た症例に対し、上肢の虚血再灌流処置(過去の大規模臨床試験でremote ischemic preconditioningとして用いられてきた上肢200 mmHgの5分加圧5分解除を3サイクル)を施行し、その前後でのプロテオームを比較した。結果、代表的なMyokineであるFNDC5およびSPARCが脳脊髄液内でRIPC施行1時間後に有意に増加することが示された。結果は循環制御誌(2021年42巻 2号p.92-99)に報告した。 RIPC後に有意に変化していたFNDC5に着目し、炎症とMyokineの関連を解明すべくin vitroでの研究に移行した。リンパ球由来Cell line(Jurkatなど)の培養において、FNDC5の添加が与えうる影響を解析した。コントロールとしては、BSAやfibronectinを用い、解析方法としては、MTT assayで細胞増殖能の変化を探索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト脳脊髄液の臨床検体のプロテオーム解析で検体精製方法を確立し、有意なタンパクを複数同定できた。またRemote Ischemic Preconditioning に伴う経時的脳脊髄液プロテオーム変動の解析をできたことは大きな成果であった。循環制御(2021年42巻 2号p.92-99)に報告した。創薬標的の探索に関しては代表的なMyokineであるFNDC5をターゲットとしている。その後、FNDC5を用いたin vitroの研究に移行している。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroの研究に移行している。 これまでのところ、FNDC5がリンパ球由来Cell line(Jurkatなど)の細胞増殖に有意な影響を与えるという結果は得られていない。FNDC5に限局せずに、Integrinなどの細胞接着分子にも目を向け、まずはリンパ球由来Cell lineの細胞増殖の変化をはっきりと観察できる実験系の作成を目指す。また、分子機序的にはFAKinhibitorの添加なども選択肢となりうる。 視点をややマクロに移し、マウス骨格筋から抽出したexosomeを添加することも考慮する。exosomeの抽出自体は超遠心を用いたプロトコールは既に確立できており、CD9、CD63、CD81によるFACSでのexosomeの評価も実施できた。特定の分子構造ではなく骨格筋由来exosomeという総体の方がより生理的な現象を解明するのに有効かもしれない。 一定の結果が得られれば、vitroからin vivoへと実験を展開させていく。
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