研究課題/領域番号 |
20K17846
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
福田 征孝 順天堂大学, 医学部, 助教 (80822296)
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研究期間 (年度) |
2021-11-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 水素ガス / 吸入麻酔薬 / グリア / 乳酸 / 低酸素脳症 / 電気生理学実験 / マウス / 脳スライス / TMEM16 / 免疫 / 神経保護 / 神経細胞 / 神経ステロイド / パッチクランプ / 虚血再灌流障害 / 電気生理 / 質量分析 / 細胞培養 / 蛍光分析 / 水素 |
研究開始時の研究の概要 |
吸入麻酔薬は虚血が起きた場合、虚血範囲を縮小させるプレコンディショニング効果が知られている。また水素ガスは活性酸素種を除去することで脳へのダメージを軽減する作用など優れた報告がある。この2つを組み合わせることで、相乗効果が得られれば、周術期脳疾患合併症の発生を抑制できる可能性がある。しかしながら、現在の研究の多くはそれぞれ単独の研究が多く、また神経細胞を主なターゲットとしており、その周辺のアストロサイトやグリアについてはまだ未解明なことが多い。両者の併用がどのようなメカニズムで作用するのかを解明し、将来的には新たな吸入療法を生み出すことで手術患者の予後改善に貢献できるのではないかと考えている。
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研究実績の概要 |
実験(1)低酸素条件下での水素ガスと吸入麻酔薬の併用効果 我々の先行研究では脳スライスを低酸素環境においた後に通常環境に戻したところ、線条体の神経細胞の興奮性シナプス後電位(EPSP)は時間経過に連れて増大した。本研究では低酸素条件の前に水素ガスとセボフルランを脳スライスに投与することにより、EPSP増大に対する抑制効果がセボフルラン単独よりも効果が高まるのかを明らかにする。また神経細胞は日齢によってその形態や性質も変化するため、日齢によって効果に変化があるのか、日齢7,14,21,28,35のマウスを用いて実験している。現在、データ取得中であり、解析後に結果を学会発表する予定である。 実験(2)乳酸輸送阻害が引き起こすEPSPに対する水素ガスと吸入麻酔薬の併用効果では、神経細胞が虚血になった場合、周辺のグリアに存在するグリコーゲン由来の乳酸をエネルギー源として利用することが知られている。我々の先行研究ではグリアからの乳酸供給を止めたところ、線条体の神経細胞のEPSP増大が生じた。このEPSP増大に対して、セボフルラン単独投与は抑制効果をもたらさなかった。本研究では乳酸輸送阻害によって生じたEPSP増大に対してセボフルランと水素ガスの併用は抑制効果があるのかを明らかにする。実験(1)と同様に、日齢によって効果に変化があるのか、日齢7,14,21,28,35のマウスを用いて実験している。現在、データ取得中であり、解析後に結果を学会発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電気生理学実験のセットアップに時間がかかり、データの取得が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
電気生理学実験を引き続き行い、データを取得する。その後、水素ガスと麻酔薬を吸入させたマウスの末梢血を採取し、生化学手法を用いて炎症系サイトカイン(IL-6,IL-1b,TNF-α)や抗炎症系サイトカイン(IL-10)、活性酸素種を測定し、水素ガスの影響を総合的に検討する。さらに水素ガスと麻酔薬を吸入させた脳疾患モデルマウスに対してモーリス水迷路やローターロッドテストなどの行動実験を行い、ワイルドタイプと比較することで水素吸入療法が記憶や学習、運動機能に対して影響を与えるのか比較検討する。
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