研究課題/領域番号 |
20K17852
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
川口 哲 旭川医科大学, 医学部, 助教 (60814217)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 敗血症 / 心不全 / 敗血症性心筋症 / 心筋代謝 / 心機能障害 / βアドレナリン受容体 / 敗血症生心筋症 / 一酸化窒素 / 誘導型一酸化窒素 / β3アドレナリン受容体 / iNOS / NO / β3受容体 / NO産生 |
研究開始時の研究の概要 |
重症敗血症は20-60%に心機能障害を合併し、敗血症性心筋症と言われる。また、β3アドレナリン受容体(β3受容体)は心不全で増加し、心筋エネルギー代謝に関わるとされている。我々は、敗血症マウスの心筋でもβ3受容体が増加し、β3受容体遮断薬を導入する事で、心機能障害を抑制し予後を改善する事を突き止めた。さらに、β3受容体を遮断する事で、酸化ストレス障害を引き起こすinducible nitric oxide synthase (iNOS)が減少する事に着目しており、本研究ではβ3受容体からのiNOSを介した一酸化窒素(NO)産生経路が敗血症の心筋エネルギー代謝障害の一要因であると仮定し、そのメカニズムを解明していく。
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研究成果の概要 |
我々の研究成果から、1)敗血症性心筋症で心筋β3アドレナリン受容体(β3AR)は増加させる、2)β3ARは一酸化窒素(NO)を産生に寄与し、β3ARからの誘導型一酸化窒素産生経路(iNOS)を介した独自のNO産生経路を有する可能性がある、3)敗血症性心筋症では心筋β3ARを遮断する事で、心筋代謝障害を抑制し、心機能低下を抑制する、事がわかった。この事から、心筋β3ARが敗血症性心筋症における新たな治療戦略となる可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
敗血症性心筋症は予後不良の合併症であり、その有効な治療法は存在しない。本研究では、リポポリサッカロイドを投与した敗血症マウスを用いて心筋β3アドレナリン 受容体(β3AR)の発現が増加する事を証明した。また、敗血症では過剰な一酸化窒素(NO)が産生される事で心筋代謝障害を引き起こすが、心筋β3ARは独自の一酸化窒素合成酵素(iNOS)を介したNO産生経路を持っている事がわかった。すなわち、敗血症での心筋β3ARを遮断する事で、過剰なNO産生を抑制し、これが心機能障害を抑制する事が示された。これらの結果から、β3AR遮断が敗血症性心筋症に対する新たな治療法につながる可能性が示された。
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