研究課題/領域番号 |
20K17870
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 長崎大学 (2022) 福島県立医科大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
井山 慶大 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (50778694)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 原子力災害 / 緊急被ばく医療 / 教育 / 人材確保 / ストレス / 心拍変動 / 被ばく医療 / 人材 / 人材育成 / ウェアラブル / 心電計 / 精神的負荷 / 人材供給 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線被ばくに対応する医療従事者は常に人材不足である。その要因として、被ばく医療に対する教育不足・知識不足が原因で被ばく医療に対する過度な不安があると考えられている。そのため、効果的な教育が被ばく医療に対する不安やストレスなどの精神的負荷を低減できるのではないかと考えた。 本研究の目的は、放射線教育による精神的負荷の低減を客観的に評価すること、およびその精神的負荷の要因を調査することである。原子力災害実習中の実際の心電図波形を解析することで、どの程度のストレス負荷がかかっているかを経時的に数値化し、客観的に評価する。本研究によって「精神的負荷を効率的に低減する教育方法」を提案することを目指す。
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研究成果の概要 |
緊急被ばく医療の訓練参加者に対して、訓練中にシャツ型心電計を着用してもらい、心拍数の変動からストレス値を導き出した。経時的に得たストレス値は、模擬患者に付着している放射性物質を取り除く処置(除染)時に、有意にストレスが上昇していた。一方で、訓練終盤にあたる防護服の脱衣時には、ストレスは除染時に比べ十分に軽減していた。ここから、緊急被ばく医療時に医療従事者のストレスが高まる状況に関する事前指導や知識の提供が必要であることが示された。また、極端なストレスの軽減はヒューマンエラーを誘発する可能性があるため、適度な緊張が与えられるストレス環境を維持するような訓練項目を構築する必要性が考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
通常、訓練の指導ポイントはアンケートなどの主観的な指標でしか評価できていなかったが、本研究ではシャツ型心電計を着用することで、客観的な指標を用い訓練の指導ポイントを具体的に把握することが可能となった。 緊急被ばく医療への従事者は不足している。そこには不安/ストレスを契機とする負の連鎖が生じており、人材不足のため教育活動は脆弱化し、医療従事者が放射線関連の基本的知識や経験を得る十分な教育機会が喪失することで、緊急被ばく医療に従事する際の不安/ストレスが解消されない。本研究はその負の連鎖を断ち切るため、効率的に不安/ストレスを取り除き、有能な人材を短期間で育成するためのヒントを得ることができた。
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