研究課題/領域番号 |
20K17873
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
山元 良 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90528853)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | 腸管虚血 / 水素ガス / 水素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、重要課題であるにも関わらず特異的治療薬の存在しない腸管虚血(Mesenteric Ischemia)に対する新規治療を見出すことである。近年、水素ガス吸入療法に関する基礎的研究が進んでおり、心停止後症候群に対する臨床試験も進行しているが、研究代表者は、吸入水素ガスの体内動態が血流に依存していることを明らかにし、特にmesenteric ischemiaの様な虚血性障害に水素ガスが効果的である可能性を見出している。本研究は、ガス吸入という独創性の高い治療開発研究であり、すでに人体に無害であることが証明されているガスを利用することから、実現可能性も極めて高いと考えられる。
|
研究成果の概要 |
本研究によって、腸管虚血状態では小腸絨毛上皮が障害の首座であることに対して、再灌流障害では、それに加えて腸陰窩部分の細胞の障害が強いことが観察された。また、水素ガス吸入によって、小腸の組織障害の程度が軽減される組織造が観察された。また、再灌流によって障害されている細胞は腸幹細胞である可能性が高く、水素ガスの腸管虚血再灌流障害軽減作用は、腸幹細胞保護作用を介している可能性が示唆された。腸管虚血再灌流障害は特異的な薬剤治療は存在しないため、水素ガスが新規治療としての可能性を持つことが示された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腸管虚血は腸管壊死から敗血症、循環動態の破綻などを併発し、時に死亡する重症疾患である。壊死腸管を切除するという外科治療以外には、虚血の原因に対する治療を行い腸管虚血時間を短縮させるした有効な治療が存在しないが、虚血原因を取り除いた後も再灌流障害を引き起こし、時に腸管が壊死に至る。その再灌流障害に対する特異的や薬剤治療が存在しないなか、本研究は水素ガス吸入が新規治療として使用できる可能性を示した。今後、臨床研究によって新規治療薬が確立する可能性がある。
|