研究課題/領域番号 |
20K17881
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部 |
研究代表者 |
松岡 由典 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 医長 (20867197)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 救急搬送システム / 患者搬送 / 心肺蘇生 / 体外式膜型人工肺 / 院外心停止 / 心室細動 |
研究開始時の研究の概要 |
心臓突然死の原因となる心室細動・無脈性心室頻拍は、電気的除細動などを含む通常の心肺蘇生法に反応しない場合には非常に予後不良であるとされる。そんな中、最近になって人工心肺を用いた蘇生法であるECPRが、予後を改善するとして期待を集めている。しかしながら、ECPRは専門の医療チームや莫大な医療資源を必要とするため、実施可能な施設は限られる。本研究では、このような症例の集約化を念頭に、搬送時間と患者予後との関連性を検討し、その結果に基づいてプロトコルの作成、およびシミュレーションによる評価を行う。さらには、一連の研究結果から科学的根拠に基づいた救急搬送プロトコルの構築が可能になると考えている。
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研究成果の概要 |
本研究では、難治性心室細動・無脈性心室頻拍患者の予後と搬送時間との関連性を明らかにし、エビデンスに基いたプロトコル作成を目的とした。神戸市内院外心肺停止レジストリのデータを解析した。その結果、ECPR施設への搬送が有意に神経学的予後良好と関連していた(OR, 2.20 [95%信頼区間 1.33 to 3.62])ことが確認された。また、ECPR施設へ搬送することのメリットは搬送時間が約70分を超過すると相殺され、さらには近隣の医療機関をバイパスする場合には追加で要する搬送時間は約20分間まで許容されることが示された。今後は、本研究で得られた知見をもとにプロトコル作成していくことが期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
難治性心室細動・無脈性心室頻拍患者の予後は、ECPR施設へ搬送することによって改善し、またその搬送によるメリットには搬送時間による制約があることが明らかとなった。ECPR施設へのアクセスは地域毎に差があり、搬送時間を考慮したプロトコルの策定が重要となる。本研究では、近隣の非ECPR施設をバイパスし、ECPR施設へと搬送することで生じる余分な搬送時間についてもその影響を推定した。本研究によって明らかとなった知見に基いて、地域差を考慮した院外心肺停止におけるプロトコルを策定することができるであろう。以上より、本研究結果は、地域における救急搬送システムの構築にとって社会的意義が大きいと考える。
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