研究課題
若手研究
意識障害を伴い集中治療室(ICU)に入室する小児患者のうち約40%に非けいれん性てんかん重積状態(non-convulsive status epilepticus:以下NCSE)を認め、NCSEが神経学的後遺症と関連するとされる。しかし救急診療初期から連続的に脳波を評価できる環境は稀で、NCSEのどのような波形がどのように神経傷害を引き起こすのかは不明である。本研究では意識障害を主訴に救急外来を受診した小児を対象とし、蓄積してきた救急外来からICUまでの持続脳波データと診療情報を包括的に解析する。さらに血清・髄液の炎症性サイトカイン・酸化ストレスマーカー・神経傷害マーカーもあわせて解析する。
本研究の目的は、意識障害を呈する小児患者においてEDでの簡易EEGの詳細な記述を行うことである。2019年3月1日から2023年2月28日の間に意識障害を呈した小児患者(18歳未満)に対して兵庫県立こども病院のEDで簡易EEGが施行されアーチファクトが少ない56例を抽出した。次にそれらのEEGを4群に分類し(FS群[32症例]、AE/AES群[8症例]、てんかん群[10症例]、発熱を伴うてんかん群[6症例])、EEGパターンをACNS Standardized Critical Care EEG Terminology 2021を用いて記述した。簡易EEGはEEG-9100(日本光電(株))を用い10-20法の電極のうち左右前頭極・後頭部の4チャンネルの基準電極導出法で記録した。簡易EEGの脳波パターンの記述ではMain Term 1は全般性を多く認めたが、グループ間で明らかな差はなかった。Main Term 2では、FS群、AE/AES群ではRhythmic Delta Activityが多く、てんかん群および発熱を伴うてんかん群ではSpike/Sharp and Wave complexが多かった。FS群の約1/4でAE/AES群では認めなかった律動性シータ活動を認めた。Periodic Dischargesの症例はなかった。Electrographic seizureは56人の患者中26人に観察され、てんかん群(100%)および発熱を伴うてんかん群(83.3%)で多く、FS群(28.1%)およびAE/AES群(25.0%)では少なかった。FS群の1/4のみにθバーストパターンを認めた。本研究ではFS群のみにこのパターンを認め、FSとAEの区別に役立つ可能性がある。EDでのEEGの報告はまだ少なく、今後より多くの症例による解析が望まれる。
すべて 2023 2021 2020
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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